4.技術思想の本質は、機能に対応する物質,力,エネルギー,情報の時空間での流れのパターンである

物質,力,エネルギー,情報の時空間での流れのパターンが機能を実現するのであるから、新規な機能を実現する装置や 方法の発明とは、物質,力,エネルギー,情報の時空間での流れの新規なパターンの生成手段であるという事になる。
技術思想が深まっていない段階では、同じ物質,力,エネルギー,情報の流れのパターンを時空間に産み出すためにも 非効率な装置や無駄な工程を含む方法が採用される。
技術思想が深まると、物質,力,エネルギー,情報の時空間での流れのパターンに 不要なパターンや乱流のようなものを含む段階から、そのような不要なパターンを除去して何が必須なパターン であるかが判明してくるようになる。すなわち、技術思想が深まっていくと、だんだんと事の本質が見えてくるのである。
当該機能に対応する必須な物質,力,エネルギー,情報の時空間での流れのパターンが、その機能の本質である。 そのパターンを形成するための装置の組み合わせや、工程の組み合わせが機能の本質ではない。
物質,力,エネルギー,情報の流れを制御して新しい機能をもたらす手段は、木材や石や金属などの機械的構造物を組み合わせて実現 した初期段階から、流体や粉体を活用する段階、電気や光やプラズマなどを活用する段階に進化していき、 使用する物体の質量も寸法も技術進歩とともに小さくなっていく。
相対性理論や量子力学が教えるように、物質も力もエネルギーも情報も、すべてはエネルギーの流れの異なる現れ方でしかないのだから、 技術思想とは、考察対象の機能に対応する物質,力,エネルギー,情報の時空間での流れの本質パターンを把握することだと 考える。
すなわち、このような技術思想の本質からみると、この世は物質,力,エネルギー,情報の時空間での流れのパターンで織り成す 美しい大海原の表面のようであり、その大海原に新しい模様を書き込むことが発明に該当するというようになる。
このような本質からすると、コストダウンや市場ニーズという事柄さえも捨象した観点で技術思想を考察することが、 新機能に対応した物質,力,エネルギー,情報の時空間での流れの新しいパターンを見出し、基本発明をする道であることが わかる。
大変に抽象的な話ではあるが、これが本質だと考える。

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