3.発明の源

アーヴィン・ラズローの「創造する真空」と 叡知の海・宇宙―物質・生命・意識の統合理論をもとめて、という本を読んで、私が 発明について若いときに体験した感覚の説明がやっとついた気がした。
私が大学生だった頃、パターン認識機能を自己組織によって形成する情報処理システムという一つのテーマに ついて考え続けていた時期があった。
起きているときは常に考えていたし、眠っていても夢に見るくらい集中して考えていた。そうしている内に、 さまざまなアイデアが洪水の様に沸いてくる状態になり、数秒くらいの時間の間に数十ページ分の内容のアイ デアが生まれたり、そのアイデア関して言語を使わないで考えている自分を意識した瞬間があった。
このような瞬間は数回あった。そのようなプロセスで生まれた発明が、サイバネトロンと名付けたものだった。
この時感じたのは、「これは自分の頭の中で生まれたアイデアではなく、宇宙のどこかに記録されていた情報を 自分の脳が読み取ったのではないか、そうでなければ頭の中で言語も使用できない一瞬の間にこれだけのアイデア の塊が自分の中に完成するわけがない。」という思いであった。
今回、読んだ「創造する真空」と「叡知の海・宇宙―物質・生命・意識の統合理論をもとめて」の中で、宇宙の構造や物質の性質、生命の存在は偶然の積み重ねではとうていに 説明ができないほどの精緻さを備えているし、バランスを持っていることが説明されていた。
そして、すべての存在の背後にはホログラフィックな場としての量子真空であるホロフィールドがあり、 ホロフィールドにすべての情報が蓄積され、それが存在物に形態を与え、調和をもたらすフィードバックを 与えているという仮説であった。ホロフィールドには過去および現在のさまざまな存在の有する記憶や思考が 記憶されており、それらが共有されているということであった。
もしかしたら、サイバネトロンのアイデアはホロフィールドに記憶されていたものを私の脳が読み取った だけなのかも知れない。また、逆に時空を越えて、私のアイデアが他の人の思考に影響を与えているかもしれない。 また、日本特許第3275311号および意味の実現原理と発明原理で、感性場の概念として私が述べた 「情報処理系の内部で情報処理の内容をコントロールするとともに、情報処理の結果として発生するある種の量の分布 である「場」を持つと考えます。この場を感性場と呼びます。」と通じるものを、アーヴィン・ラズローが叡知の海・宇宙で 述べているアカシック・フィールドに見出し、驚いた。

【参考サイト】
1. 量子力学
2. EPRパラドックスの検証
3. アインシュタイン=ポドルスキー=ローゼンのパラドックス
4. 量子テレポーテーション
5. 存在
6. 意外と量子力学に関係あるメモ
7. 現代物理と仏教を考えるページ
8. カシミール効果

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