76. 特許パワーの出口をたたくということ
企業内に特許パワーが強大に存在していても、特許パワーを外部に行使するための出口である特許パワー活用者は
たいていの場合、特定の組織の特定の個人となる。たとえば、ライセンス部長とか、ライセンス担当者がこれに
該当する。
どんなに、組織的な活動をする知的財産部門であっても、特定の権利行使プロジェクトや、特定の特許権の権利行使
は、最終的には一人の人間が意思決定をしている。
ここに、特許パワーのボトルネックが発生する。この特定の個人の処理能力や、その特定の個人を取り巻く組織
環境がボトルネックを形成する。組織環境の項目には次のようなものがある。
(1) 特許パワー活用者に与えられた決定権限の幅と大きさ
(2) 特許パワー活用における意思決定に必要な手続きコスト(時間、費用)
(3) 特許パワー活用者が使える時間
(4) 特許パワー活用者の理解できる技術分野の範囲や法的知識の範囲など
何千件もの特許権を保有する企業があったとしても、その企業での特許パワー活用者における上記の項目が劣化して
おれば、特許パワーの出口がつまった状態になり、特許パワーを十分に活用できなくなるのである。
簡単に言えば、2本の腕しかない人間は、最大で2本の刀しか振り回せないので、3本目からの刀は武器ではなく
、単に行動をスローダウンさせたり、コストアップをもたらす邪魔ものでしかなくなるのである。
また、特許パワー活用者を、その権限を越える決断を迫るような状況に追い込んだり、理解できる範囲を越える事項
の判断をさせる状況に追い込むと、特許パワー活用者は、その所属企業にとってある程度不利な条件であっても、
自分の決定権限内におさまるような決定をしたり、自分の理解できる範囲の決定をしようとする傾向を有する。
このように、特許パワーの出口である特許パワー活用者をたたくことができれば、強大な特許パワーを有する企業
であっても恐れるには足らないのである。
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