70. 特許戦力の配置
【特許戦力の配置の考え方】
特許戦力の配置は、特許戦争の目的に応じて決定する。自社商品を競合商品やコピー商品から防衛するのであれば、自社商品の販売エリアで特許権を取得する必要がある。また、競合製品などの製造国で特許権を取得する必要がある。そして、自社商品の販売額や販売予定額に応じた金額の投資を特許戦力の配置のために行なう事が基本となる。それに対して、実施料収入を得ることが目的であるならば、むしろ自社商品が存在しない領域(国やマーケット)に特許戦力を配置したほうが良い。実施料徴収の相手からの反撃を、自社商品に受ける可能性を減少させるためである。また、自社商品の防衛を目的とするならば、競合企業が小さいうちに特許戦力を用いて、叩く方が良い。相手からの反撃の可能性が小さいし、自社商品の信用や価格破壊の悪影響が小さいからである。それに対して、実施料収入を目的とするならば、相手企業の事業が大きくなるのを待って、叩く方が良い。相手企業が、こちらの特許権を侵害する商品から撤退できないようにして、将来とも長く実施料を支払わせ続けるためである。また、多くの企業が実施料を支払うべき状態に、はまり込むようにするためである。
また、攻撃すべき相手企業が強大であるならば、それに応じて強力な特許戦力をその領域に配置することを原則と する。相手の急所に強力な特許戦力を配置して、少ない特許戦力の配置で相手を圧倒する事ができれば、これに越 した事はない。
このように、特許戦力の活用の目的によって、特許戦力の配置領域や活用のタイミングは大きく異なるのである。 また、特許戦力は権利行使のしやすい国やしやすいマーケットに、権利行使のしやすい特許権を配置することが良 い。

【特許戦力の配置決定のための分析の方法】
ステップ1:特許戦略平面を構成するマーケットをリストアップする。
ステップ2:事業上や技術上で関係の深いマーケットが、特許戦略平面で隣接するように配置を調整する。また、 地理的や経済的に近い国が隣接するように特許戦略平面での配置を調整する。
ステップ3:特許戦略平面において、1つの国と1つのマーケットで規定される領域であるセグメントごとに、次 の事を記入していく。
      (1)自社の現在および5年後の最も重要な商品の名前
      (2)その現在重要商品の現在の売上高と5年後の予測売上高
      (3)その5年後重要商品の現在の売上高と5年後の予測売上高
      (4)上記の2種の重要商品についての競合企業名
      (5)その競合企業の現在の売上高
      (6)その競合企業の5年後の予測売上高
      (7)2種の重要商品について、権利化されている自社の特許権の件数
      (8)上記権利の5年後の残存数
      (9)2種の重要商品についての、出願中の自社特許の件数
     (10)2種の重要商品についての、5年以内に新規登録される自社特許の予想件数
     (11)そのセグメントでの特許権活用の目的(自社商品の売上拡大、実施料収入、活用の必要の有無)
     (12)特許権活用の容易度


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