393. 特許資産デフレからの脱却のための特許法102条への第5項の追加案
特許法の損害賠償推定規定の拡充等によって、「実損水準の底上げ」に加え、積極的加害意思のある場合等、一定の悪質な侵害に対し、
より高額の支払いを命じる追加的損害賠償制度等の新たな仕組みを創設することが、日本の産業を守るためには、急務である。(参考サイト1)
そこで、現行の特許法102条(下記参照)に第5項を追加する。
(損害の額の推定等)
第一〇二条 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、
その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、その譲渡した物の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為が
なければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた額を超えない限度において、
特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。
ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、
当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2 特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、
その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。
3 特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、
自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、特許権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、
裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
追加する第5項の案文は次のとおり。これによって、侵害者は侵害行為や侵害とみなす行為の態様の種類数倍だけの損害賠償額とできるし、侵害期間が長くなるにつれて損害賠償額が
指数関数的に急増する。(例:侵害者の行なった行為が侵害品の「生産」と「譲渡」と「譲渡の申し出」と「所持」と「生産専用部品の輸入」と「生産専用部品の生産」の6態様であり、
侵害期間が5年であったとする。この場合、本条第1項〜第4項で推定される損害賠償額をAとするならば、第5項によって算出される損害賠償額Bは、次のような式となり、Aの186倍となる。
B=A×(6+6×2+6×2×2+6×2×2×2+6×2×2×2×2)=A×186)
5 特許権者又は専用実施権者の特許権又は専用実施権を故意に侵害した者には、特許法第2条3項に規定する実施行為および特許法第101条に規定する侵害とみなす行為の
中の侵害者によって行われた行為ごとに、本条第1項から第4項の規定により推定された損害賠償額が適用される。
なお、この損害賠償額に関する利子の額は、侵害の日を起点とした年利100%の利率の複利で算出される。
【参考サイト】
1. イノベーション促進のための知財司法改革--「特許資産デフレ」からの脱却を目指して-- 2017 年 4 月 18 日
http://www.miyakeshingo.net/archives/002/201704/%E6%8F%90%E8%A8%80%EF%BC%88%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E7%89%88%EF%BC%892017-4-18%E3%80%80.pdf
特許戦略メモに戻る 前ページ 次ページ
(C) Copyright 2017 久野敦司(E-mail: patentisland@hotmail.com ) All Rights Reserved