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394. 特許資産デフレからの脱却のための、標準規格の必須特許の特許権侵害罪の摘発

特許権侵害罪が非親告罪となったのは、平成10年(1998年)の法改正による。(参考サイト1)

しかし、特許権侵害罪の摘発は、全くと言っていいほどされていない。(参考サイト2)
これは、日本の基幹産業(例:半導体産業、電機産業など)の衰退の一因ともなっているし、高度な技術力を武器に発展しようとする日本のベンチャー企業の成長の阻害要因にも なっている。
非親告罪となった特許権侵害罪の摘発を、警察や検察が行なわないことの原因は、次の2つであると考える。
1. 特許権侵害罪の摘発を行なえるだけの能力を有する専門組織を警察や検察の内部に構築してこなかった。
2. 特許権侵害罪の摘発を行なってこなかった警察や検察を、日本企業も日本の政治家も国民も批判することもなく放置していた。

今回、特許資産デフレの原因の1つが特許権侵害罪の摘発がされていないこととの認識を政権党である自由民主党が持った。(参考サイト2)
確かに、特許権侵害罪の摘発は、証拠収集や技術分析や侵害鑑定などの大変に専門的で困難な仕事を伴なうものである。
しかし、標準規格の必須特許の特許権侵害罪の摘発は、大変に簡単なので、まずはそこから特許権侵害罪の摘発を開始することが重要である。
なぜならば、標準規格に準拠した製品は、その製品のカタログや取扱説明書に標準規格番号を表記することがほとんどである。
そして、標準規格ごとに必須特許は標準規格の制定団体のホームページなどで特許番号リストとして開示されていることがほとんどである。
したがって、標準規格番号を表記した製品について、必須特許の特許権者に問い合わせて、「その製品がライセンス品かどうか」を確認すれば、 侵害品かどうかが簡単に判明するのである。
このように、標準規格の必須特許の特許権の特許権侵害罪の摘発から開始し、だんだんと高度で困難な摘発に対応できるようにしていけば、パテントポリス(参考サイト3) と言えるような活動が可能となっていく。


【参考サイト】
1. 第 7 章 産業財産権の強化と知的財産訴訟制度の整備
https://www.jpo.go.jp/seido/rekishi/pdf/kinenshi/07_00.pdf
2. 提言 イノベーション促進のための知財司法改革--「特許資産デフレ」からの脱却を目指して--2017 年 4 月 18 日 自由民主党 知的財産戦略調査会(会長保岡興治)
知財紛争処理システム検討会 座長 三宅伸吾
http://www.miyakeshingo.net/archives/002/201704/%E6%8F%90%E8%A8%80%EF%BC%88%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E7%89%88%EF%BC%892017-4-18%E3%80%80.pdf
3. パテントポリス夏子
特許戦略小説「パテントポリス夏子」は、第10話まで書きました。途中までで放置していますが、次のサイトで今も読めます。
http://archives.mag2.com/M0070682/20100625080000002.html
http://archives.mag2.com/M0070682/20100628080000002.html
http://archives.mag2.com/M0070682/20100701080000000.html
http://archives.mag2.com/M0070682/20100706080000000.html
http://archives.mag2.com/M0070682/20100709080000000.html
http://archives.mag2.com/M0070682/20100715080000000.html
http://archives.mag2.com/M0070682/20100720080000000.html
http://archives.mag2.com/M0070682/20100726080000000.html
http://archives.mag2.com/M0070682/20100803080000000.html
http://archives.mag2.com/M0070682/20100819080000000.html
4. ISO規格一覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%A8%99%E6%BA%96%E5%8C%96%E6%A9%9F%E6%A7%8B%E3%81%8C%E5%AE%9A%E3%82%81%E3%82%8B%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%A8%99%E6%BA%96%E4%B8%80%E8%A6%A7

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