39. 顧客満足訴求の範囲と、技術経営
技術経営においては、事業の目的である顧客満足の提供を、技術を中心として革新し、継続します。すなわち、
商品やサービスとして顧客満足を提供するために必須となる「顧客に与える機能の組み合わせ構造、その構造が動作
して顧客満足を提供する場面、その機能の使用方法などからなる体系の範囲」をまずは明確化することが必要です。
すなわち、顧客満足訴求の範囲を簡潔で論理的な文章で表現するとともに、図でわかりやすく補足します。
そして、顧客満足訴求の範囲を構成する機能を実現するために最適な技術を明確化します。それは、特許請求の範囲
として表現します。このようにして抽出された技術は、顧客満足の提供に必須なものとなります。この技術の進化の
ストーリを考察します。
技術進化のストーリの作成のために、この技術を構成する要素技術、代替技術を含めて、技術進化の法則を適用する
ことで見えてくる将来の技術を明確化していきます。ここで言う技術進化の法則は技術分野によって異なりますが、
情報システムに関しては、次のような法則が存在します。(1)システム化、(2)知能化、(3)小型化、(4)
高速化という方向に情報技術は必ず進化します。特に、たいていの情報システムは、人間の体や脳や社会の情報処理の
階層や原理に類似した構造に進化していきます。これは、人間が自分に似せて情報システムを設計しているという理由
もあるからでしょう。人間に理解しやすいシステム構造がどうしても選択されるのかも知れません。
いずれにしても、顧客満足の提供、顧客満足の革新に必要な技術が現在と、将来においてどのようになるのかを認識し、
技術開発の重点領域を選択したり、人材計画を実行し、技術提携先を選択したりして、経営資源創造と配分を顧客満足革新を
継続的に行なえるように、行なうのが、技術経営の本質であると考えます。顧客満足の革新と無関係な技術開発では、経営
としては成り立たないので、それは技術経営とは言えません。
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