38. 顧客満足訴求の範囲と、特許請求の範囲

事業企画をする者にとって、何が顧客満足訴求の必須要件であるのかは、究明すべき重要事項です。
顧客満足を実現するためには、製品やサービスにおいて、複数の要素をどのような考え方でバランスをとり、組み 合わせ、いかに低コストで提供するのかということに頭を悩ませます。例えば、A機能とB機能の両方を搭載し、しかもそれらを既存の馴染み深い操作 方法で利用できるようにするとか、コストを下げるために、使用場面に限定を加える仕様とするが 、それは顧客のニーズや運用の実態からすると、顧客には不便は与えないというようなものです。製品やサービスが 顧客に与える機能の組み合わせ構造、その構造が動作して顧客満足を提供する場面、その機能の使用方法などからな る体系のうちで、顧客満足を提供する必須の部分を「顧客満足訴求の範囲」と呼びたいと考えます。
顧客満足訴求の範囲は、商品やサービスが顧客に与える価値の根源を示していますし、競争力のポイントを示しても いますので、これを明確に表現して把握することが、事業展開をしていく上で重要です。
顧客満足訴求の範囲は、本質部分を言葉で論理的に表現するという点が特許請求の範囲に似ていますが、新規性や進 歩性を問わないところが異なります。顧客満足訴求の範囲が新規性と進歩性を有しており、特許請求の範囲としても 使えるものである場合は、製品やサービスを守ることのできる強力な特許権を得ることができることを意味します。 顧客満足訴求の範囲は、何が顧客満足の実現の核心であるのかを抽象概念として表現することで得られます。
一度、顧客満足訴求の範囲を抽出できると、今度はそれを具体化する様々な製品やサービスの形態が発想できます。 このようにして発想された製品やサービスに関する事業企画は、一貫した骨太のものとなります。

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