28. 顧客満足革新に貢献する特許管理
特許管理は何を目的に行えば、最も大きな事業貢献と経営体質改善の効果を与えるで
しょうか?
答は、経営と同じ目的で行なうことだと思います。すなわち、顧客満足革新に貢献す
るという観点での特許管理です。
企業は、顧客ひいては社会への貢献の対価として存在を許され、発展を望まれるわけ
ですので、特許管理の基本は
顧客満足革新に貢献するという観点となります。具体的には次のように行ないます。
1. 顧客満足革新の内容をもとに、発明や特許を分類して、優先順位を付ける。
顧客満足革新の内容は、例えば新しい商品分野を切り開いたものであれば、その新商
品の名前が顧客満足革新
の内容を端的に示している場合が多いので、その新商品の名前から概念抽出します。
さらには、その商品のカタログ
に記載するキャッチフレーズや特徴リスト、その商品の開発計画書に記載の商品特徴
からも概念抽出します。
このようにして抽出した概念をもとに、顧客満足革新の目的と、その目的を実現する
技術的機能を抽出し、その機能
の内容にしたがって、発明や特許を分類し、その分類の中で優先順位を付与します。
基礎研究や技術開発の場合には、社会をそれがどのように革新するかという観点で、
その技術の目的および目的を
実現するための技術的機能の概念を把握をします。このようにして把握した内容にし
たがって、発明や特許を分類し、
その分類の中で優先順位を付与します。
2. 分類し、優先順位を付与したら、優先度の高い発明は特許出願をします。ま
た、関連情報の収集、関係者への
ヒアリングなどを通じて、その分野での技術進化のストーリ、事業発展のストーリを
形成するとともに、市場の動向、
競合企業の動向、関連技術の動向を把握します。これによって、発明や既存の特許出
願の優先順位も変わります。
3. このようにして把握した技術進化のストーリ、事業発展のストーリを、技術戦
略および事業戦略に対して、
発明計画、有望な自社特許の内容とステータス、その有望特許の将来の活用計画の情
報とともに、フィードバックし
ます。このフィードバックプロセスで、技術開発部門や事業部門からもフィードバッ
クを受けるので、それをもとに
特許の分類のもととなる顧客満足革新の目的と、その目的達成のための技術的機能の
表現や内容の変更をする事
にもなります。
上記のようなプロセスを継続することで、特許管理は事業や経営と同じ顧客満足革新
という方向で進行できます。
問題は事業や経営と比較した特許の処理プロセスのスピードです。
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