278.他社製品での実施技術を公開ドキュメントから推定する方法

自社の特許権を侵害する可能性のある他社製品(以下、対象製品と言う)の実施技術を、分解分析(ティアダウン)という高コストの方法を用いて把握する前に、 できるだけ低コストで推定する方法が必要となる。公開ドキュメントから対象製品の実施技術を把握できることが望ましい。
次のような観点を総合的に用いることで、対象製品の実施技術を公開ドキュメントから把握できる場合がある。

(1)対象製品の型式でインターネットを検索してみて、その型式を記載した技術論文でその型式の製品について説明している記事の内容は、 対象製品での実施技術である可能性が極めて高い。

(2)対象製品のカタログやマニュアルで使用している特殊な機能や応用形態の名前と同じ名前を記載していて、対象製品のメーカの関係者が 作成したドキュメント(雑誌の記事、特許ドキュメント、技術論文)には、対象製品での実施技術が記載されている可能性がある。

(3)対象製品の型式を含むプレゼンテーション資料(パワーポイントファイルなど)の作成者またはプレゼンテーションの実行者の氏名を 発明者氏名とするとともに、その対象製品のメーカー企業を出願人とする特許ドキュメントには、対象製品での実施技術が記載されている 可能性がある。

(4)対象製品のカタログなどに記載されている対象製品の図面とほとんど同じ図面を用いている特許ドキュメントがあり、その特許出願の 出願人が対象製品のメーカである場合、その特許ドキュメントに、対象製品の実施技術が記載されている可能性がある。

(5)対象製品のユーザーズマニュアルやインストレーションマニュアルなどに記載の技術は、対象製品で実施されている。

(6)対象製品において特許表示されている特許番号の特許ドキュメントに記載の技術は対象製品で実施されている可能性が大変に高い。特に、主請求項に記載の 技術は対象製品で実施されている。

(7)上記の(2)から(6)で挙げている特許ドキュメントにおいて、特許出願が審査請求されていたり、外国出願されている場合、 その特許ドキュメントに記載の技術は対象製品での実施の可能性がある。

(8)上記の(2)から(6)で挙げている特許ドキュメントにおいて、特許出願の日が対象製品の発売日の直前である場合、その特許ドキュメントに記載の技術は 対象製品での実施の可能性がある。

(9)対象製品の技術が記載されている可能性が大変に高いと上記の(1)から(8)の基準を総合して判断されたドキュメント(雑誌の記事、特許ドキュメント、技術論文) と、著者、タイトル、使用している特殊用語、図面、発表や出願の時期、強調している技術的な特徴機能などのいくつかが共通しているドキュメントには、対象製品での実施 技術が記載されている可能性がある。
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