279.組織成長による、集中型→分散型→自律分散型という進化と階層上昇のパターン
人間組織、機械組織、生物組織にしても、組織規模が成長するに伴って、集中型→分散型→自律分散型というように構造が変化していくという
共通の現象があるように思える。集中型では内部処理も外部への適応処理も単独で行なう。
分散型では分散した各構成要素は内部処理を分担はするが外部への適応処理を実行するのは一部の構成要素に限定されるので外部への適応や全体効率に問題が発生する。
自律分散型では各構成要素が内部処理を分担するだけでなく各構成要素が外部への適応や内部処理の全体効率の維持向上も図るというような高度な動作を行なう。
自律分散型となった組織は、全体として階層が1段上昇し、自律分散型組織の全体が大きなスケールの1個の集中型の個体として活動を行ない始め、上昇した階層における
組織成長によって、また集中型→分散型→自律分散型というように構造が変化していく。
人間組織においては、国家レベルでは、集中型とは統制経済体制であり、分散型とは市場経済体制であり、自律分散型とはエコロジー経済体制であると考える。
企業レベルでは、集中型とは単一事業の企業であり、分散型とは事業部制やカンパニー制の企業であり、自律分散型とは事業と技術と知財の共通プラットフォームを
中核としたコアを持ちながらシナジー効果を発揮しつつ複数分野の事業を行なうホロニックマネージメントの行なわれる企業である。
機械組織において、中でもマシン制御システムでは、集中型とはPLCによる制御システムであり、分散型とはDCSによる制御システムであり、自律分散型はこれから
発生することが期待されるものである。
分散型の組織は、空間的範囲や機能的範囲で広い範囲に活動範囲を広げるためには必要であるが、組織全体としては最適化ができていないために、無駄が多く、
組織各部のシナジーの発揮ができないという問題や、各種の資源が薄く広がり、集中型の小規模組織に各所で負けるということも発生するし、外部環境への
組織全体としての最適化もなかなかできないという問題も発生する。
このような欠点の克服のためには、分散した組織の各要素が組織全体の最適化のための内部のシナジー発揮や、外部環境への組織全体の最適化活動を
行なうという知能化が必要となる。それが出来れば、組織全体は階層が1段上昇した存在となって存続できる。
知的財産活動は、本質的には知的財産という価値の根源、言い方を換えると「組織進化をもたらす情報」を制御して、組織を進化させる活動であるとも言える。
その意味で、知的財産業務は人類社会の進化の観点からみて、大変に重要である事を、認識しておくことが必要である。
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