234.知財分野の主要な資格試験の改革が必要

知財分野の主要な資格には、1級知的財産管理技能士、弁理士、知的財産修士がある。
1級知的財産管理技能士と弁理士は実務能力を示す国家資格であるので、それぞれの資格の保有者が遂行することを 期待される実務能力を測る試験になるように、それぞれの試験内容を、さらに改革する事が必要である。
具体的には、1級知的財産管理技能士の試験には技術を事業利益に結び付けられるように、複数個の技術を組み合わせて技術の価値を 検討したり、商品ライフサイクルの観点から技術を評価するような能力も測る試験が必要である。
弁理士には、高い品質の出願明細書の作成および高い品質の請求項の作成の能力、侵害鑑定や無効鑑定の実務能力を測る試験 が必要である。(現在の弁理士試験には、業務独占している出願、中間処理、鑑定等の実務能力の試験をしておらず、業務独占 をしていない「知財法令解説」の業務を中心とした試験となっているという致命的欠陥がある。 業務独占資格であるならば、独占した業務についてはクライアントに損害を与えないレベルには実務能力があることを確認する 実務能力試験が必須である。)

【知財分野の主要な資格の比較】
資格業務の範囲(業務独占の有無)試験の範囲
1級知的財産管理技能士 企業の知財部門で必要とされる知財業務の中の特許業務および知財戦略業務(業務独占ではなく、名称独占である。)

戦略,法務,リスクマネジメント,情報・調査,国内特許権利化,外国特許権利化,契約,エンフォースメント,価値評価・資金調達,関連法規

弁理士

次の業務を代理業務として行なうことを独占している。
出願明細書、図面、請求項、願書の作成と出願手続きと中間処理手続き;鑑定;異議申し立てなどである。
具体的には、次のように定められている。


特許、実用新案、意匠若しくは商標若しくは国際出願若しくは国際登録出願に関する特許庁における手続
特許、実用新案、意匠若しくは商標に関する異議申立て若しくは裁定に関する経済産業大臣に対する手続
これらの手続に係る事項に関する鑑定
政令で定める書類若しくは電磁的記録の作成

必須科目:○ 工業所有権(特許、実用新案、意匠、商標)に関する法令、○ 工業所有権に関する条約、○ 著作権法、○ 不正競争防止法
選択科目:次の科目から1つを選択する。工学、数学・物理、化学、生物、情報、法律(弁理士の業務に関する法律)

知的財産修士(例:東京理科大専門職大学院MIPの場合) なし

基幹科目は、「民法」、「民事訴訟法」、「知的財産法」の法律科目
特別科目は、「経営科目」、「技術科目」及び「国際・法律科目」
発展科目は履修者が自由に選択でき、「知財評価」や「知財会計・信託」などの経済系科目、「技術移転・アライアンス」や「標準化戦略」などの技術戦略系科目、 さらに「知財契約・ドラフティング」や「知財ネゴシエーション」がある。


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