177.請求項を認識するとは、請求項を理解するとは

請求項を認識するとは、請求項を正しく構成部品に区分し、各構成部品に正しくタグを付与するとともに、 構成部品の関係の記述をタグを用いて正しく行なうことである。
請求項を理解するとは、請求項の認識結果をもとにして、請求項に関して目的に応じた情報処理の結果を出す ことである。
この情報処理の基本的なものに、次のものがある。

(1)1つの請求項だけで行なう処理
@ 請求項の特徴量の抽出
A 請求項の評価値の算出
B 請求項の各構成部品に対応した製品リストの抽出
C 請求項に類似した技術情報を得るための検索式の生成
D 請求項を表現したブロック図であるクレーム対応図のグラフィック表示の生成
E 請求項の他言語への翻訳(例:日本語−>英語)
F 上位概念請求項の生成
G 下位概念請求項の生成
H 解釈記述子を適切に配置した平文請求項の生成

(2)2つの請求項で行なう処理
@ 請求項の間の類似度の生成
A 請求項の間の包含関係の検出
B 請求項の間の部分パターンマッチング
C 請求項の間の同一構造の検出
D 請求項の結合による新しい請求項の生成
E 請求項の間の差分構造の検出

請求項の認識を補助するために、平文請求項には過去からの慣習で次のような解釈記述子が埋め込まれている。
「連続改行符号」: 請求項の構成要素間の境界を示す。
「、」   : 請求項の構成要素間の境界を示す。
「と、」  : 請求項の構成要素間の境界を示す。
「とを備える」: 前部分が構成部品の列挙であり、後ろ部分が全体の名称であることを示す。
「とを備えた」: 前部分が構成部品の列挙であり、後ろ部分が全体の名称であることを示す。
「とを具備する」: 前部分が構成部品の列挙であり、後ろ部分が全体の名称であることを示す。
「とを具備した」: 前部分が構成部品の列挙であり、後ろ部分が全体の名称であることを示す。
「において」: 前部分が全体の名称であり、公知なものであり、後ろ部分が新規であることを示す。
「であって」: 前部分が全体の名称であるが、公知ではなく、後ろ部分で全体の中の部分について述べることを示す。
「を特徴とする」: 前部分に特徴的記述があり、後ろ部分に全体の名称があることを示す。
「を特徴とした」: 前部分に特徴的記述があり、後ろ部分に全体の名称があることを示す。
「前記」:   後ろ部分にくる記述は、前方のどこかで記述済みであることを示す。
「,」:    請求項の構成要素内の意味の区切りを示す。
「手段」:   前部分が機能表現であり、前部分とあわせて請求項を「もの」として表現していることを示す。
「工程」:   前部分が機能表現であり、前部分とあわせて請求項を「方法」として表現していることを示す。
「ステップ」: 前部分が機能表現であり、前部分とあわせて請求項を「方法」または「プログラム」として 表現していることを示す。
「し、」:   前部分が前工程を示し、後ろ部分が後工程であることを示す。

このような解釈記述子を増強(例:構成要素名の前に入れる解釈記述子「;」を定義する)した上で、整理し て体系化して用いることで次のようなメリットが生まれる。
1. 請求項の読みやすさが向上する。
2. 請求項の認識におけるあいまい性が大幅に減少する。
3. 請求項をコンピュータが認識すること、すなわち請求項にPCMLタグを付与したPCML化請求項を 生成しやすくなる。
4. 請求項での記述対象の技術を表現する部分が、請求項の解釈を支援する解釈記述子から区分でき、請求 項の認識が行いやすくなる。

解釈記述子の新しい体系を構築した上で、既存の平文請求項に解釈記述子を入れていけば、既存の請求項を PCML化請求項に変換することは簡単になる。すなわち、コンピュータが請求項を認識し、理解することが できるようになる。

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