163.特許の藪は、各家庭の冷房が全体としては暖房となるヒートアイランド現象に似ている

暑い日に、冷房をすることで快適に各家庭がすごそうとすると、冷房装置が外部に排出する熱が増加する。 冷房装置は電気エネルギーを消費しながら動作しているので、全体としては暖房機になっている。 冷房装置を稼動させると、町全体は暑くなる。それがさらに各家庭での冷房装置による冷房の使用を増加させて、 さらに外部へ排出する熱を増大させている。ヒートアイランド現象では、このようなことがおこる。(参考サイト1)

特許出願や特許権は、それ自身は商品やサービスのような付加価値を社会にもたらすものではない。
特許権は特許発明の他者による実施を排除する権利であり、特許発明を自分が自由に実施できることを保証 する権利ではない。なぜなら、自分の保有している特許発明が他者の特許発明の実施なしには実施できないという 利用関係になっている場合があり得るためである。
自社の事業領域に他者の商品やサービスが参入してきたり、自社の商品やサービスが他者の商品やサービスに 打ち負かされることを防ぐために、自社の事業領域に自社特許を敷き詰めようということが行なわれる。
また、他者の特許権による自社事業への攻撃に対する対抗特許も用意される。
このような事が多数の事業者によって行なわれる産業分野では「特許の藪」が形成され、何か新しい商品やサービス を市場に出そうとすると、多数の他者特許との摩擦が発生したり、他者特許の回避のための労力が過剰に 必要となる。

ヒートアイランド現象の解決のために、「打ち水」や植林が有効と言われている。(参考サイト2)
「特許の藪」現象の解決のためには、パテントプールが行なわれることがある。将来は善意のライセンシーに適用する 合算実施料率上限制度が行なわれるようになると考える。(参考サイト3,4)

【参考サイト】
(1) 都市が暑くなる・・・!? ヒートアイランド現象
(2) 打ち水
(3) パテントプール
(4) 善意のライセンシーに、合算実施料率上限制度が必要

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