162.他者対抗特許と自社実施特許の関係
他者対抗特許とは、自社製品や自社サービスが他者の特許権で攻撃を受けた場合に、攻撃を仕掛けてきた他者
に反撃するために活用する特許である。
他者から自社への攻撃に活用される他者特許には、次の(A1)から(A3)のカテゴリーのものがある。
(A1)請求項末尾に記述される「発明の名称」が、特定の自社製品や自社サービスの全体を含むもの。
(A2)請求項末尾に記述される「発明の名称」が、特定の自社製品や自社サービスを構成する一つの部品や構成要素
を示すもの。
(A3)請求項末尾に記述される「発明の名称」が、特定の自社製品の生産方法や検査方法であったり、生産装置や
検査装置であるもの。
また、自社に特許権での攻撃を加えてくる他者の事業には、次のようなバリエーションがある。
(B1)攻撃対象の自社製品や自社サービスと競合する製品やサービスの事業をしている。
(B2)自社製品の部品や構成要素であって、攻撃対象となったものと同じ分野の事業をしている。
(B3)攻撃対象となった生産方法や検査方法、生産装置や検査装置と同じ分野の事業をしている。
(B4)上記の(B1)から(B3)に該当する事業ではない他の製品やサービスの事業をしている。
(B5)特許権の権利範囲となるような事業やサービスをしていない。
(A2)や(A3)の他者特許の監視は、(A1)の他者特許に対する監視よりも薄くなりがちである。
(B2)から(B5)に該当する他者に対する監視や対抗特許の準備は、(B1)に該当する他者に対する
監視や対抗特許の準備よりも、困難である。
自社実施している特許には、(B1)に該当する他者に対する対抗特許にできるものが含まれる可能性がある。
しかし、自社実施の特許では、(B2)や(B3)に該当する他者への対抗特許にできるものはほとんどないし、
(B4)に該当する他者への対抗できる対抗特許にはならない。
また、(B5)に該当する他者へは対抗特許はあり得ない。
このように考えると、自社実施特許中心主義では、他者対抗特許の準備もままならないことがわかる。
【参考サイト】
(1) 自社実施特許中心主義について
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