159.知財業務に必要な想像力
知財業務には、例えば次のような場面で想像力を必要とする。想像力を持たず、現実に自分の担当範囲で発生
している事象や文書となっている情報だけ
の範囲で考察し、価値評価し、判断していては大変なリスクを見逃したり、価値ある知的財産権を見逃してし
まうことになる。
1.契約に関する業務において
(1) その契約の影響を受ける可能性のある自社内の事業範囲、情報の範囲を想像することで、その契約
の重要性が判断できる。(機密保持契約、ライセンス契約などの影響範囲の想像が重要)
(2) 逆に、事業や技術開発の内容から関連性のある既存契約の存在や形態を想像することで、知ってお
くべき既存契約の抽出ができる。
2.発明の発掘と評価の業務において
(1) その発明の適用分野を発明者よりも広く想像することで、請求項を広げるべき方向性が見えてくる。
(2) その発明に関連する公知技術の存在しそうな技術分野や産業分野を想像することで、発明評価
に必要な公知文献調査のターゲットが見えてくる。
(3) その発明が実現する将来の社会現象や新しい事業や産業のあり方を想像することで、発明の価値
の大きさが見えてくる。
3.特許権の活用と評価の業務において
(1) 特許権の権利範囲に入っている具体的な商品や事業分野を想像すること。
(2) 自社に知的財産権での攻撃を将来において仕掛けてきそうな他社を想定し、その他社に対する
対抗特許がカバーすべき商品や事業を想像すること。
(3) 自社の複数個の特許権を組み合わせることで実現しそうな他社との提携の形態や、カバーしそうな
事業領域を想像すること。
知財業務には想像力が必須であるとともに、想像した事項の存在を検証しようとする積極性や、想像した内容を
評価して良いものを実現しようとする意志があることが望ましい。
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