152.地球環境保護の時代の知的財産権制度
環境汚染規制違反をひきおこす生産の方式を用いていたり、製品そのものが環境汚染規制違反をひきおこすものでありながら、
環境汚染防止対策のコストを負担せずに安い価格で市場で製品を販売する事業者がいる。
このような事業者は企業の社会的責任を果たそうと言う意志が大変に弱いので、知的財産権侵害の問題も
ひきおこす可能性が高い。
なぜならば、法律に違反したり、社会的責任を果たさなくても良いから、とにかくコストを安く抑えて大量
生産・大量販売をして、利益をあげようという姿勢が原因だからである。
大量生産・大量販売は、売上高固定費比率を下げるため、利益率を向上させる効果がある。そのため、同じ
利益率ならば販売価格を下げることが可能となり、製品の競争力を向上させる。それが、大量生産・大量販売の誘引と
なる。
地球環境保護に資する知的財産権制度のためには、知的財産権侵害の場合に侵害者に支払わせる金額Aを次
のようにすることが効果的である。
すなわち、知的財産権の侵害を発生させた企業が環境ISO(例:ISO14001)の第三者認証を取得していない企業
であった場合、金額Aの計算に(加重係数)を適用するのである。
A=(侵害者による侵害品の売上高)×(通常の実施料率)×(加重係数);
(加重係数)=MAX(1,(侵害者による侵害品の売上高)/(正当実施権者による実施製品の売上高),(侵害者による侵害品の累積売上高)/(侵害者による侵害品の侵害開始初年度売上高));
このようにすることで、特許権者は環境ISOの第三者認証を取得していない企業をターゲットに特許権を行使した場合に
得られる金額が大変に大きなものとなるので、そのような企業への特許権行使に積極的になれる。
また逆に、自社が他社の知的財産権侵害をした場合の金銭支払いリスクを低下させるために、企業は環境ISOの取得に
熱心になるのである。その結果、知的財産権侵害を避ける事と、環境ISOの第三者認証を取得することが促進される。
【参考サイト】
環境保全の理念と特許法の理念との調和についての模索
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