91. マイクロライセンスとPCMLシステムが技術開発効率と事業提携チャンスを革新的に増大させる
特許権は独占排他権として機能することで、特許権者に特許発明を活用した事業を独占させて、利益を特許権者に
もたらすことで、さらなる発明を促進させる。
しかし、現実はこのようにはなっていない。他人の特許発明を侵害する者の発生は後を絶たないし、特許権侵害者
を摘発することは、コストと時間が大変にかかるものとなっているので、なかなか権利行使は行なわれない。
また、権利行使に活用できるような特許権は1%にも満たないことが多い。
権利行使に使用できる特許権が1%にも満たないからといっても、他社に権利行使される可能性は無視できないほど
に大きい。なぜならば、普通の事業領域において、自社以外の有力な競合他社は5社は存在する。
そして、通常は、どの事業領域においても有力他社の特許権は合計100件は軽く越える。
すなわち、個々の企業は自社が特許権を行使できるチャンスは小さいにもかかわらず、他社から権利行使をされる
可能性が無視できないほどに大きいという世界で、技術開発、商品開発、事業をすることになっている。
このような傾向は、知財に経営層の関心が増えて、知財をもとに収入を得ようとする傾向が増えるほどに激化する。
そのため、新製品や新サービスの開発において、他社特許の調査・鑑定・対策(つぶし、回避、ライセンス取得)
などを行なうことが必要となる。これを行なわねば、特許権の行使を受けて、事業が継続できなくなったり、莫大な
損害賠償金や実施料を支払わねばならなくなる危険が大変に大きくなるためである。
他社特許の調査・鑑定・対策は、時間と労力とコストがかかる大変な作業であり、研究開発の効率を大変に低下さ
せている。2005年4月現在、日本は知財立国という国家政策のもとで、特許権のパワーを増大させる政策を行な
っている。しかし、これは日本国内における企業が、ハリネズミのように針だらけの毛皮を着て、狭い場所に密集
してうごめいているような状況を形成している。餌をとりに動こうと思っても、まわりのハリネズミの長い針が恐くて、
なかなか動けないということである。
ここで、ハリネズミの針を短くし、他のハリネズミとコミュニケーションする触角に変えてしまってはどうだろう
か?
すなわち、自分の製品が権利範囲に入る特許権を低コストで正確・高速に検出するとともに、その特許権について
のライセンスを、対象製品にとって無視できるほどに低い実施料率のものとして、自動的に取得する。
すなわち、製品の技術構造をPCML(請求項記述言語)で記述し、そのPCML化技術構造情報を用いて、その製品を権利範囲に含
む特許権を、特許権のPCML化請求項と比較して自動的に高速に抽出するとともに、特許権者の指定するロイヤ
リティ振込み口座の番号を特許権者のサーバーから取得する。その後、製品にRFIDタグを装着して、出荷する。
この出荷の時に、各製品に装着されたRFIDタグのシリアル番号の群を、特許権者のサーバーに自動的に通知す
るとともに、自動的に特許権者の口座に非常に低率の実施料をロイヤリティとして振り込むことで、自動的にライ
センスを取得するのである。
実施料率は、0.05%程度を想定する。
このような非常に低率のロイヤリティ率で薄く広く自動的にライセンスをする方式を、マイクロライセンスと呼ぶ。
この程度の実施料率であれば、ライセンシーは楽に支払える。それにもかかわらず、ライセンスを得ずに侵害
製品を販売していたことを摘発された場合には、特許権侵害罪を厳格に適用するとともに、例えば、過去分について
は、損害賠償金を非常に高額のものとしたり、積極的に差し止めを認めるようにする。
このように特許制度を運用することで、特許発明には確実に特許料が支払われるようになるし、特許発明は実施され
やすくなる。侵害回避のためのコストや時間がほとんど不要となるので、研究開発効率が向上する。さらに、特許情
報を用いて、様々な企業間での技術提携が実行されやすくなる。
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