68. 特許発明の侵害発見容易性

特許発明の侵害の証拠を入手する事の容易性である。
侵害しそうであると思われるものの存在に気づく確率と、その侵害品やマニュアル等を入手するための費用と時間 と、侵害品やその説明資料の分析のために必要な技術の困難性や分析に要する費用や時間が、侵害発見容易性を規 定する要因となる。一般に侵害発見容易性は次のような順序である。
(1)最も容易なレベル:
   カタログ、論文、マニュアルなどの書類だけで侵害の証拠とできるもの。
   装置の分解や動作解析をしないで、外観だけから侵害の証拠を得られるもの。
(2)やや容易なレベル:
   特別な技術や設備なしでの簡単な分解による解析だけで侵害の証拠を得られるもの。
(3)普通のレベル:
   通常の技術者が通常の開発設備を用いて約1週間以内の分析によって侵害の証拠を得られるもの。
(4)やや困難なレベル:
   分析対象品の価格が非常に高額であって、入手が困難なもの。
   分析対象品が特別注文品であって、侵害者に悟られずに入手することが困難なもの。
ソフトウエアや電子回路の発明のように、分析に特殊な設備や道具を必要とし、分析に1カ月以上を要する もの。
(5)非常に困難なレベル:
   LSIやASICのように解析に非常に高額な設備と特殊な技術者を必要とするもの。内部論理をプロテク トされていて、解析が困難な物。

侵害発見が困難な特許権では、特許戦力にはならない。
民事訴訟法の改正によって、1998年から「当事者照会制度」が新設され、被告製品の侵害製品についての情報 をとる手段は形成された。しかし、これも訴訟を提起しなければ利用できない。


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