52. 民間企業のノウハウと熟練人材を大学に集中して大学技術の実用化促進とノウハウ保持の推進
日本の知財立国とは、「日本が他国に先行した技術とその知的財産権を保持し、その技術で日本企業が日本を含
めた世界で通用する製品やサービスを提供し、知的財産権を用いて製品やサービスを後続者から守ることで、
日本の国際競争力を維持・強化する。」ということだと思います。
日本の知財立国のための国内の法制度を強化することはできつつありますが、外国での日本企業の競争力を強化する
ための組織や知財戦略は考えられていないように思います。日本企業の貴重なノウハウや技術を中国に移転する前に
、それを日本国内の他の企業に移転することを促進していかなければ、個別企業のその時の一時的な利益のために
中国企業に技術やノウハウを移転させていると、何年か後には日本よりも中国の方が知的財産権の面でも優位にたって
しまいます。コスト競争力で負けるので、知的財産権で勝とうという基本政策が崩れるということになります。
管理貿易をするというわけにはいかないので、高度な技術やノウハウを日本国内で流通させるか、独立行政法人となる
国の研究機関や大学に集積するために国が買い上げ、そこで他の技術やノウハウと結合するということが、必要であると
考えます。
現在は、大学に集積された技術を民間企業に移転することで産業を活発化させようという趣旨の産学
連携が注目され、推進されています。この産学連携に、民間企業の技術やノウハウを大学に集中させ、さらに高度化する
という視点を入れるべきであると思います。民間企業の熟練技術者や経営管理熟練者が大学に移転することで、大学の
研究成果や技術がさらに高度化し、実用的にできると考えます。その結果を用いて、日本でコスト競争力も技術的な
優位性も確保して、国内で生産しても採算があうという製品やサービスが創造でき、それに伴った知的財産権も世界で
確保できるという状況をつくるべきと、考えます。要は、民間企業の貴重なノウハウと大学の高度な研究成果の結合を
することで、貴重なノウハウが中国に漏れることを防止しつつ、日本の競争力を維持向上しようということです。
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