51. 事業企画書としての特許出願書類作成の考え方
特許出願をすることは事業企画行為そのものであると考えて、発明に事業から見た肉付けをして、明細書や図面を
作成することは、事業企画部門において、他社参入障壁を伴った事業企画を推進するための1つの方法です。
この場合、従来技術および従来技術の問題点の記載の前に、【発明の背景】として、想定する事業の内容とその事業の
マーケットの状況や関係する法制度、事業分野における主要なプレイヤーの収益モデルを、提供する製品やサービスの事業的な環境として簡単
に説明し、そこから、その事業が顧客満足を革新し、他社参入障壁を築くために必要な技術の話につなげるという
スタイルをとるのが良いと思います。
このような【発明の背景】を記載することで、特許出願をした後も、その発明の事業上の価値を判断しやすくなる
というメリットが発生します。また、事業における特許権の位置づけも明細書を読むことでわかるようになります。
ただし、このようなスタイルの明細書では、事業企画という「現実論とビジネス環境」に縛られた発想になりがち
ですので、発明の本質を抽出する段階と、抽出した発明の本質をもとに発明の技術的な発展形態を発想する段階、
発明のアプリケーションを発想する段階を設ける必要があります。この段階で考えたことがさらに、事業企画に
フィードバックを与えて、事業企画を洗練したり発展させていきます。
このようにして創造した事業企画書(兼)特許出願書類に、特許性のあるビジネスモデルが含まれておれば、それも
請求項に記載して権利化をはかれば良いです。
特許戦略メモに戻る 前ページ 次ページ
(C) Copyright 2004 久野敦司(E-mail: patentisland@hotmail.com ) All Rights Reserved
戦略のイメージに合うフリー素材の動画gifを、http://www.atjp.net からダウンロードして活用しています。