43. 特許業務の効率低下の原因
どこの企業の知財部門も、特許業務の効率化をはかっていることと思います。
できるだけ低コストで、しかも短時間で広い権利範囲の特許権を取得し、その特許権を
低コストであまり人手をかけず、短時間で活用できれば、特許業務の効率が高い状態を実現して
いると考えます。
しかし、実際には大量の価値の低い発明の処理に忙殺されているか、自分達で作った
様々な社内の仕組みの維持管理に忙しくしているために、本来の業務である特許権の事業への活用
ということがなかなかできないでいる場合が多いと思います。それへの対策として、ライセンシンググ
ループや戦略グループを権利取得グループやリエゾングループから切り離し、戦略業務に集中できるよ
うに工夫している企業も多いです。
しかし、ライセンシングや戦略業務を担当する者が、技術開発の現場や営業の現場から遠いところで
戦略を練ってばかりいると、技術の流れを予測する能力や顧客満足のポイントを見抜く目をもてなくなり、
立案する戦略が事業からかけ離れてくるようになり、事業部門からの要請があってはじめて、特許権の
活用の企画を開始するような受身型の仕事のスタイルに退化するようになってきます。
このような状況に陥る原因は、「大量の価値の低い発明の処理に忙殺されているか、自分達で作った
様々な社内の仕組みの維持管理に忙しくしている」という状況を解決していないことにあると思います。
価値の低い発明であるかどうかの判定は難しいところがあります。なぜなら、進歩性が低いと思われる
発明が特許権として成立した場合には、かえって、広く実施される強力なものになる場合があるからです。
また、自分達で作った様々な社内の仕組みの維持管理に忙殺されるのは、大部分が価値の低い発明
からなる膨大な特許出願を、法律で決められた期限までに処理をしたり、事業との関係を評価したり、
あまり費用をかけないようにしたり、社内の関係者が必要な関心と知識を維持するように教育をするという
業務が派生的に多く発生するためです。膨大な件数のアイデアを社内から抽出し、そのアイデアを特許
出願し、権利化していくということに多くの人々の関与が必要なので、様々な社内の仕組みの維持管理が
必要となるためです。
言わば、含有度の低い金鉱山では膨大な設備と人員を用いて、大量の鉱石を掘り出し、多くの資金や
手間や複雑な組織を用いて、金を抽出しているようなものです。
特許業務の効率をアップするためには、何が最も重要でしょうか?
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