348. 特許権の最終評価や特許戦略の立案は、単独発明での特許権が5件以上あるような高度発想力人財にしかさせるべきではない

いくら努力をして社会の変遷を予測し、未来のニーズの実現に必須な機能をカバーする基本発明の特許権を取得しても、特許権の維持管理を発想力のほとんど無い者に させてしまうと、駄目である。
発想力が無いので未来を想定することもできないし、未来のニーズに必須な機能も想定できないので、そのような機能をカバーする基本特許を容易に捨ててしまう。

要は、目利き能力の無い者には、予測や推定や洞察という高度な知的能力を必要とする業務を担当させるべきではないのである。

予測、推定、洞察などの高度な知的能力(いわゆる、目利き能力)を必要とする業務は手順書やマニュアルに従った処理では決して到達できない大変に高度なものであり、 その成否は結局は行なう人に依存する。

それでは、高度発想力人財(いわゆる、目利き者)が誰であるのかを、どのようにして見抜くのかという事が問題となる。
高度発想力人財は高度発想力人財を見抜くことができるが、それでは客観性が担保できないので、そのような方式での人事制度や組織編成は行きづまる。
そこで、高度発想力人財を選定するため、「単独発明での特許権が5件以上ある人」を高度発想力人財とするという客観的基準を設定する。

各企業は知財部門に高度発想力人財を少なくとも1人は配置し、技術や特許権や事業の将来価値の予測に基づいた戦略の指揮をするIP Officerとしている必要がある。
弁理士資格などの資格試験では目利き能力の試験ができないし、目利き能力とは逆方向の能力である法律や判例の記憶力が優れた者に有利となる。
これまで、知財業界では目利き能力とは逆方向の能力である「高度で複雑な手順を確実にこなす能力」を有する人材を選抜する弁理士試験を中心に試験制度を充実させてきた。

ここに、知財がなかなか事業や経営に役立たない根本原因があるのだと思う。
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