323. 技術の記述と技術の比較のための数学的なフレームワークが特許制度の基盤として必要である

技術思想という情報を取り扱う特許制度の根本には、次のような未解決の基本問題が横たわっている。

1.技術はどのようなデータ構造で記述すべきであるか?
2.記述された技術によって開示された技術の範囲は、数学的にはどのようにして定め、どのようにして記述するのか?
3.技術Aと技術Bの包含関係を数学的に、どのようにして決定するのか?
4.技術Aと技術Bの類似関係を数学的に、どのようにして決定するのか?
5.技術を理解可能に記述するとは、数学的にはどのようなことなのか?
6.技術を実施可能に記述するとは、数学的にはどのようなことなのか?

本来は技術の問題として体系的・数学的に処理すべきこれらの問題を放置したまま「当業者」と いう仮想的な存在の中に、進歩性の判断基準や開示範囲の判断基準や均等の範囲の判断基準に関する矛盾を押し込めつつ、 、法律問題としてアドホックに法的に処理してきたために、 相互に矛盾したり、意味不明の膨大な判例が特許権侵害訴訟や審決取り消し訴訟について蓄積し、それらをもとに学説やら論文やら審査基準などが 出てきて、時々は法改正が行われるということが繰り返されてきた。まるで神について議論してきた宗教のような世界となっている。



しかし、これは基盤ができていない液状化した土台の上に高層ビルを林立させるようなもので、つぎはぎだらけで手間とコストがかかるばかりの意味のない活動でしかない。

今の特許の世界の状況はガリレオの天動説が社会に認知される前、地動説が主流だった時代に太陽や星や惑星や月の動きを説明するために、たくさん周転円を空間に仮想して天体の動きを 解釈していた状況とそっくりである。
プトレマイオスの周転円
【プトレマイオスの周転円】 出典: http://kakuda.ed.niigata-u.ac.jp/98soturon/java/gyakko/syutenen/gyakko.html


技術の記述と技術の比較のための数学的なフレームワークが特許制度の基盤として必要である。


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