290.特許出願と特許権活用のフレームワーク
特許出願と特許権活用を次の2つの軸を用いて考えると、広い範囲の多様な形態を構想できるので、有用である。
第1の軸は、注目する活動主体の軸である。それは、軸の原点から次の順に外側に向かって広がっている。
自社→競合企業→顧客企業→パートナー企業→標準化団体などのようなフレーム形成組織
第2の軸は、現在の実施技術を起点とした可能性の広がりの軸である。それは、軸の原点から次の順に外側に向かって広がっている。
実施技術→実施技術が実現した機能(実現機能)→実現機能を用いたアプリケーション→アプリケーション展開または社会的ニーズによって将来重要となる機能(将来機能)→将来機能のコアとなる技術
この2つの軸で構成される平面(特許戦略平面)の各セルに自社のパテントを位置付けて管理することもできる。
また、自社が企画したり実行している特許戦略がその特許戦略平面上のどのようなセルを組合わせているかを表現することで、その特許戦略の性質を判りやすく可視化することもできる。
特許権の活用とは、自社事業のためになるように他者の活動を自社の特許権を用いて制御することである。
したがって、注目する事業ごとに、特許戦略平面に自社のパテントをマッピングすることは極めて重要となる。
第1の軸では「自社」に着目し、第2の軸では「実施技術」に着目したS11のセルの範囲だけで特許出願と権利化を図るのは、初歩の初歩レベルとしては必要であるが、 特許権の戦略的な活用のためには特許戦略平面の広い範囲のセルを自由に駆使できるようにすべきである。自社の実施技術にだけ注目した特許出願と特許権の取得だけでは、 特許権の活用はほとんどできない。他者の技術にも製品にも注目していないからである。
このように、特許戦略平面においてS11のセルの範囲内だけに閉じこもったレベルの低い活動をするものを、
自社実施特許中心主義
と言う。
【特許戦略平面】
将来機能のコアとなる技術
S15
S25
S35
S45
S55
アプリケーション展開または社会的ニーズによって将来重要となる機能(将来機能)
S14
S24
S34
S44
S54
実現機能を用いたアプリケーション
S13
S23
S33
S43
S53
実施技術が実現した機能(実現機能)
S12
S22
S32
S42
S52
実施技術
S11
S21
S31
S41
S51
自社
競合企業
顧客企業
パートナー企業
フレーム形成組織
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