267.知財人材を戦略人材に育成するための知財業務の3つの工夫
事業・技術・知財の三位一体の活動ということの必要性を説かれた書籍や文献があります。
具体的に、この三位一体の活動ができるためには知財人材側も、事業環境や事業成長のための方策に関心を持ち、自分自身でも調査分析したり
事業発展のための行動をすることが必要です。
しかし、事業の現場から離れたところで知財スタッフとして知財業務をしている立場からみると、なかなか事業環境や事業成長のための方策に関心を
持つべきだと言われても、関心を持ってもその関心を活かす場がなかなか無いので、長続きしないという問題意識もあると思います。
大部分の知財人材の置かれている現状においても、「特許ドキュメントの情報構造と、特許戦略立案のための思考プロセスの間の深い関係」を用いることで、
知財人材を戦略人材に育成することができると思います。
その方法として、3つ挙げます。
方法1: 下記のような「特許ドキュメントと、特許戦略立案のための思考プロセスの深い関係」を用い、注目した1件の出願済みの特許ドキュメントの中身の
情報項目を、次の順番に並べ替えます。
技術分野ー>発明の効果ー>課題を解決するための手段ー>発明を実施するための最良の形態−>ジェフソン形式の請求項での特徴的構成要素−>背景技術−>発明が解決しようとする課題
−>請求項−>実施例1−>発明の名称
そして、さらに各情報項目に事業の立場からの情報の追加をして、事業環境の記述から始まり事業発展のための戦略(特許戦略を含む)を記述します。
このようにして、特許ドキュメントをトリガーとして、調査と分析と構想を加えて事業戦略ドキュメントを知財人材が作成していきます。
このようにして作成した事業戦略ドキュメントを用いて、事業企画などをしている事業部門側のスタッフに、そのポイントを話して反応を得るということを
してみると良いと思います。
方法2: 特許出願のための明細書の【背景技術】の欄に、その発明の適用される事業分野に関する顧客価値、顧客価値を実現するための機能、その機能の
実現のための技術の中におけるその特許出願で注目している技術分野の位置付けも記述します。このようにすることで、事業において最重要な概念である
顧客価値を常に意識した知財業務ができるようになります。
方法3: 請求項と発明の効果と事業の間の相互想定訓練をします。
すなわち、下記サイトに示す(3)、(4)、(5)を行ないます。これにより、予測能力と応用展開能力が強化されるとともに、事業をさらに強く意識することができるようになります。
http://www.patentisland.com/memo256.html
【特許ドキュメントと特許戦略立案のための思考プロセスの間の深い関係】
http://www.patentisland.com/memo265.html
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