254.標準規格に特許番号が記載された必須特許のライセンスなしでの標準規格の実施行為は特許権侵害罪

標準規格の規格内容を説明するドキュメントまたは付属書類に、必須特許の番号リストが掲載される場合が多い。(参考サイト4)
標準規格に準拠する製品を製造販売しながら、必須特許についてライセンスを受けていないものがあった場合には、特許権侵害罪を構成すると言える。 なぜならば、必須特許は対応する標準規格の準拠製品において実施が不可避の特許権なので、標準規格の準拠製品は必ず必須特許を実施することとなる。 しかも、必須特許の番号リストが明確に標準規格のドキュメントまたは付属書類に記載されているのであれば、その特許権の存在を知らなかったとは 言えず、特別の理由(当該特許権が無効であると言える証拠を確保している)が無い限り、侵害行為は故意によるものと判断されるからである。
特許権侵害行為が故意であるならば、特許法第196条に違反するので、特許権者などからの告発なしに、警察による犯罪捜査および送検や、検察官に よる起訴の対象となり得る。
特許権侵害罪は、非親告罪であるにもかかわらず、侵害判定が困難であることなどの理由から、ほとんど適用例が無かった。
しかし、標準規格に特許番号が記載された必須特許のライセンスなしで、標準規格準拠製品の製造や販売を行なう行為は、特許権侵害罪を構成する場合が ほとんどである。警察は、標準規格の必須特許の発明をライセンスなしで実施している企業を特許権侵害罪で積極的に取り締まることが必要である。

【参考サイト】

1. 特許権侵害罪
特許法第196条 特許権又は専用実施権を侵害した者(第101条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、 10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2. 標準と特許プール
3. 「知的財産権刑事罰に関する一考察」‐‐‐特許権侵害罪を中心として‐‐‐
4. CATV必須特許ポートフォリオ(CATV Essential Patent Portfolio)

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