223.「光合成住宅産業」へのイノベーションがエネルギー問題と食糧問題を解決する
石油文明の象徴である自動車産業は、巨大な産業として世界経済を牽引してきたが、二酸化炭素排出
による地球温暖化やエネルギー枯渇などの大きな問題を発生させてきた。
経済をまわして大規模な失業と貧困の発生を防ぎながら、自動車産業などに替わる巨大産業を育てて、その
巨大産業のパワーによって、食糧問題、エネルギー問題、環境問題を解決することが必要である。
そのようなポテンシャルがあるものが、「光合成住宅産業」である。
光合成住宅とは:
太陽光を用いて発電し蓄電するソーラーシステムと、
雨水または水道水の貯水システムと、
貯水システムによる水と,空気中の二酸化炭素と窒素と,リン酸とカリとミネラルを含む養分と,太陽光またはソーラーシステムによる電気
で発生する照明光を用いて,植物細胞または人工光合成デバイスに光合成をさせて食料を自動生産
する食料生産システムと、
ソーラーシステムが生産する電気エネルギーを生活のために使用したり売電できる電気エネルギー管理システム
とを装備した
居住用住宅である。
光合成住宅産業とは、光合成住宅の製造と販売と光合成住宅で生産される電気エネルギーや食料など
の流通、光合成住宅の保守整備や光合成住宅の使用法の教育などの産業、既存住宅を光合成住宅に
リフォームするための設計サービス、施工サービス、診断サービス、光合成住宅に関連する部品など
の産業からなる、裾野の広い巨大産業である。
世界的に農地の土壌汚染や地下水の枯渇などで農地での食糧生産が困難になりつつあるが、
光合成住宅産業を立ち上げることができれば、光合成住宅が普及するにつれて、石油の消費は減り、
食料価格は低下し、生活に余裕のある人が増え、社会や他人の利益のために生きるという意識に
向かう人が増えていく。空気中の二酸化炭素も減少に向かう。
熱帯や亜熱帯地域に集中している人口爆発地域では、太陽光が強いし降雨量も多いので、光合成住宅に
適している。そのため、特に熱帯や亜熱帯の地域では人々の生活に余裕をもたらし、人口増加が
緩和に向かうし、治安も良くなり、平和と秩序ある社会の発展へのきっかけになる。
また、光合成住宅の技術は軍事に転用される心配も無い平和的な技術でもある。
自動車は、電気を用いるし、水冷システムにおいて液体も扱う、排気ガスや吸気において気体も扱う、
照明光も発生させるし、車室内の人のための椅子などの設備も備えている。
すなわち、自動車は光合成住宅に必要なほとんどの機能要素を備えているので、自動車技術や
自動車産業の技術者や設備を光合成住宅産業に転用することが可能であると考える。
住宅の屋根や壁の面積が、田畑の面積よりも大変に狭いので、光合成住宅によって得られる食料や
燃料が極めて少なくなるという当然の懸念はある。
しかし、現時点で全地球的に考えると、一人当たりの耕地面積は10アール=1000uである。
また、現在の植物による光合成効率(入力の太陽光エネルギーに対する、光合成で得られる栄養分の
エネルギーの割合)=約0.1%である。(参考サイト10)
通常の住宅の屋根の面積は50u程度であると考える。1つの住宅に4人が居住していると仮定
すると、一人当たりの屋根の面積は12.5uとなる。
ここで、次の式を定義する。
(一人当たり光合成力)=(一人当たり耕地面積)×(光合成効率)
そうすると、耕地で植物による光合成をする場合は、次の値となる。
(耕地による一人当たり光合成力)=(1000u)×(0.1%)=1
人工光合成デバイスの光合成効率を植物の100倍とすると、次のようになる。
(光合成住宅による一人当たり光合成力)=(12.5u)×(10%)= 1.25
すなわち、民主党参議院議員の浅尾議員たちが目指している「植物の100倍の光合成効率の人工光合成
デバイス」が実現できれば、その人工光合成デバイスを用いた光合成住宅による食料または燃料の
生産量は、その住宅の住人全員が現時点で耕地から得ている量の1.25倍となる可能性があることを
意味する。
屋根だけでなく住宅の壁も光合成に利用することや住宅あたりの居住者の人数を少なくすることも考えれば、
光合成効率を現在の30倍程度以上にすることが出来れば、光合成住宅は巨大産業となる可能性が
十分にあることがわかる。
光合成住宅産業への集中的な政策投資と、イノベーションが必要である。
【参考サイト】
1. 光合成の説明図
上の図の出典: http://www.kagaku.info/faq/photosynthesis000403/index.htm
2. 光合成に関するwikiサイト
3. 光合成におけるリンの役割も示したページ
4. 人工光合成を推進しようとしているあさお慶一郎参議院議員のブログ
浅尾議員の志と先見性の高さを示すコメントがありましたので、応援し、紹介します。
上記の写真の出典: http://www.dpj.or.jp/member/?detail_17=1
浅尾:私は「誰もが自己実現、挑戦できる社会を作っていきたい」という思いは最初から変わって
いません。今、私が挑戦したいのは、変わっていると思われるかもしれませんけど、「人工光合成」
プロジェクトです。植物が太陽エネルギーを使って光合成しているメカニズム(CO2を吸収し酸素を
放出する)を解明して、植物の光合成の100倍の効率で人工的に行うことができれば、地球温暖化問
題は解決できる上、ブドウ糖からアルコールを生成してエネルギーを生み、エネルギー産出国とな
ってエネルギー問題まで解決できる。今後どのくらいの科学者とカネを注ぎ込むと開発できるか、
研究を始めています。光合成の前工程では、水を酸素と水素に分解するのですが、この水素を使う
燃料電池ができれば、ガソリンを買わなくても自動車は走ります。実現できたら大変壮大な話で、
相当面白いと思うのです。アポロ計画の真似をして宇宙計画をやるよりも、日本の技術で世界に先駆
けてできることはないか、そういうことを考えたいのです。
出典: http://www.globis.jp/public/home/index.php?action=view&id=542&module=front&object=content&page=1
5.京都大学大学院工学研究科 分子工学専攻光有機化学分野 今堀研究室
上記の図の出典: http://www.techno-forum21.jp/prize/pr070412-02.html
6. これからの光合成研究―生物物理の視点から
三室 守 京都大学大学院地球環境学堂,大学院人間・環境学研究科
7. 近赤外光を使って水を分解する光合成の新たな仕組みの解明
-地球の生産性と炭素循環に与える新たな視点-
8. 光合成をするとともに、人間に必要な栄養素のほぼ全部を生産する単細胞生物「ユーグレナ」
動物細胞に似て、ユーグレナは細胞壁を持たないので食用にした場合の吸収が大変に良いし、タンパク質
の含有が多いという優れた特徴を持つ。
出典: http://www.dejavu-onlinestore.com/spheregreen.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%8A%E8%97%BB
株式会社ユーグレナ
ユーグレナ研究会
ユーグレナというミドリムシを食物連鎖の起点として、ピラルクの養殖にまで至れば、食べやすさの
問題にも一つの解決策を提供するのではと思います。
http://www.tvais.jp/item_dte.php?i_id=1593106&tv_id=215984
http://jp.youtube.com/watch?v=aB20Yhh2LBw
9. 「ミドリムシクッキー」開発 温暖化と食糧危機の切り札に
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0809/17/news079.html
10. 人口と食料
11. モス山形によるスナゴケを用いた緑化住宅 京都嵐山の祇王寺
12. 人工光合成が可能に? 可視光での量子収率およそ90%、リン酸銀の画期的な酸化特性を発見 物材研 実現に大きく一歩前進
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