181.公共調達における特許権者の優遇は企業間の技術提携の触媒となる
公共調達において複数の特許権にカバーされるシステムが調達対象となることがある。
そして、その複数の特許権が異なる特許権者によって所有されていた場合、各特許権者またはそのライセンシ
ーが共同でそのシステムを製造して納入する必要が生じる。
このような場合、特許権者又はライセンシーが特許技術を持ち寄って、公共調達の対象となっているシステム
の開発と製造と納入を行なうので、そのシステムが世界初の先進的なものであるなら、公共調達は技術革新の
触媒となる。また、技術革新をもたらす技術提携の触媒ともなる。
これは、極めて狭い分野の大変に優れた先端技術とその特許権を保有しているが、経営基盤の弱いベンチャー
企業の開発した有望市場に、多くの基盤技術や特許権を保有すると共に資金力や人材の豊富な大企業が後発で
参入して、先発のベンチャー企業を排除してしまうことを防止する。
公共調達の対象システムにとって、そのベンチャー企業の特許発明の実施が必須であるなら、そのベンチャー
企業またはそのライセンシーの参加は必須であるためである。
このように、公共調達において先端技術を用いるシステムを発注対象とし、発注先をそのようなシステムを
カバーする特許権者又はライセンシーとするなら、ベンチャー企業と大企業が共同で信頼性が高く技術レベル
も高いシステムとして、世界初のシステムを開発して納入するということを促進する効果を持つ。
公共調達における特許権者の優遇は企業間の技術提携の触媒となるのである。
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