18. 基本特許となる発明のための思考法
基本特許となる発明(基本発明)であっても、過去からの技術の積み重ねです。しかし、基本発明は、全く新しい観点や発想
から過去からの技術を組み合わせたものです。そして、そのような発明の中で、代替手段が他になく、しかもその発明を起点
として多くの新技術や応用分野が生まれると見込めるものが基本発明です。
すなわち、従来にない新しい観点や発想や価値観に基づいて従来からの技術を組み合わせており、その組み合わせ方が、
1つの確固とした原理に基づいているので、代替手段が存在しないというものが基本特許となる発明(基本発明)です。
このような基本発明を抽出したり、創作するための思考方法には、次のようなものがあります。ただし、このような思考を一瞬
のうちに、無意識にやって、ひらめきを得る人も優秀は発明家には多くいます。
【基本発明の抽出手法】
1. 発明の目的を徹底的に追求する。なぜ、その目的を設定する必要があるのか、本当の目的はそれなのか、というように
目的の概念を上位概念方向にたどったり、横方向や下方向にたどって、適切な目的を設定する。
2. 目的の設定が終わったら、解決手段としての発明を、目的を基礎に論理的に分析していく。すなわち、その目的からみて、
その発明の方式では、Aという場合には目的が達成できないとか、その発明は暗黙のうちにBの成立を前提としているのでは
ないか、もしかしたら、Bが成立するということが発明の本質ではないのかとか、その目的を達成するためには、他の方式が
考えられる、そうすると、あなたの発明と、別方式の共通する原理にこそ、本質があるのではないかとか、さまざまな観点で
質疑応答をしながら、発明の本質を抽出していきます。
【基本発明の創作手法】
基本発明の創作での思考は、次のようにして行なうことができます。他にもありますが、次のような方法でも基本発明の創作
は可能です。
1. 基本発明の題材としてのたたき台のアイデアを設定する。これは、何も自分の発明や、自社の特許出願である必要もない。
他社の公開特許公報を題材にしても良い。
まず、題材の発明は何を解決するものなのか、発明の目的を抽出する。公報に記載されているので、それを抽出するだけでも
まずは良い。または、例えばAさんのアイデアであれば、Aさんにその発明の目的をヒアリングする。
2. 設定した発明の目的は、どのような技術分野や応用分野の中のものであるのかを、自問自答したり、討議して抽出する。
3. その技術分野は、どんな価値を社会に与えているのか、そして、社会はこの技術分野でどのような要求の方向に向かう
のかをマクロに考える。そして、その技術分野の価値の実現の上で、現在考えている発明の目的は、どのような技術進化の
ストーリのもとで発生したのかを想像して、グラフ構造で記述してみる。想像できにくい場合には、その技術分野の他の公開公
報を分析して発明グラフ構造にまとめてみることでも良い。
4. このような発明グラフ構造を、想像して作成したり、公開公報を分析してまとめていく過程で、次にはどのような目的が
解決すべきものとして現れるのかが見えてくる。見えてきた発明の目的を達成する手段を考察する。考察して得られた手段が、
従来にない発想や新しい原理や新しい価値観に基づいて従来技術を組み合わせたものであれば、その手段が基本発明に
なる可能性が高い。代替手段がないかどうか、その発明を起点として多くの発明や応用分野が発想できそうかどうかをチェック
して、答えがYesであれば、基本発明とする。
注)この発明グラフ構造は、発想力の豊かな事業企画リーダと共有して、技術進化と事業進化の螺旋構造が同期する部分を
最も有望な「発明の目的」とする
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