154.包括的ライセンス契約での許諾特許の範囲の特定に必要な請求項記述言語
産業界で要望が強い包括的ライセンス契約の登録制度は、「産業活力再生特別措置法
等の一部を改正する法律案」にて、第166国会で可決成立する見込みです。
しかし、包括的ライセンス契約には、ライセンス対象の特許の特定が困難という問題があります。
産業構造審議会知的財産政策部会流通・流動化小委員会(第8回) 議事録
(2007年3月13日)
http://www.meti.go.jp/policy/economic_industrial/committee/summary/0002631/index.html
「ライセンス対象の特許の特定が困難」という包括的ライセンスの欠点を解消するも
のが請求項記述言語となります。
請求項記述言語を用いて、許諾製品または許諾特許の範囲を記述することで、その記
述をカバーする権利範囲を有するライセンサーの特許(将来のものも含めて)が許諾
特許ということになります。
このように、請求項記述言語を用いて製品の技術を記述することで、ライセンス契約
の締結や運用の自由度と精密度が向上します。
すなわち、請求項記述言語は特許文書の一部である請求項をコンピュータに理解させ
ようと言う所から出発しましたが、請求項記述言語は特許の世界に閉じたものではな
く、製品の技術構造の記述、技術論文やカタログなどの技術文献における技術の要点
の記述に用いることで、侵害判断、ライセンス範囲の特定、公知かどうかの判定など
の自動化や効率化にも大きく寄与するものであるとわかります。
すなわち、請求項記述言語は高い抽象レベルにて技術の記述を行ない、請求項と製品
の比較、公知文献と請求項の比較、製品と公知文献の比較などのように異分野の領域
間の技術の比較を可能とするITインフラです。
請求項記述言語は特許業務への工学の応用の分野でも必要とされていますが、その分
野に限定される存在では無いということがわかると思います。
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