138.職務発明に関する退職後実施許諾権
職務発明の譲渡対価の計算は、不確定要素と主観的要素が多すぎて、どんな計算方法を採用しても納得できる
結果は出ないと思います。そこで、発想を転換してみます。
すなわち、発明者が報われるために下記のような「退職後実施許諾権」というものを制定するというものです。
【退職後実施許諾権】
自己の特許発明について発明時の所属会社などを退職後に非独占の実施権を1回だけ許諾できる権利(退職後実施許諾権)
を、発明者に与える。
この退職後実施許諾権は、発明者が職務発明についての特許を受ける権利を自己の所属する会社などに譲渡を
しても発明者に残る権利であり、譲渡不能とする。
発明者は、自己の職務発明を所属企業に譲渡する時に、譲渡対価の一部として退職後実施許諾権を得る。
退職後実施許諾権を行使した発明者またはその相続人は、発明の譲渡対価が相当であったかどうかについて争
うことはできないものとする。
退職後実施許諾権は、特許権単位で行使でき、共同発明の場合には各発明者が独立に行使できる。
退職後実施許諾権によって許諾された実施権は、許諾した発明者から特許権者に対して許諾の相手の名称、許諾対象の特許権の番号を
書面にて通知した時に効力を発する。そして、退職後実施許諾権は勤務規則や契約や誓約や宣言の類によって行使を制限
することはできない。
このようにすると、発明者と所属企業が相当の対価について争うことが少なくなるし、企業は優秀な発明者の
処遇を厚くして、退職を防止するようになるので、特許法が本来予定していた発明の促進と産業の発達の両立
が図れるようになる。
【参考サイト】
1. 職務発明
2. 第9回 職務発明〜職務発明訴訟の本質と特許法改正〜(2005/04/25)
3. パテントサロン 職務発明問題
4. 特許権制度の存在理由と職務発明制度−特許法35条批判(1)
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