105. 発明の手法と数学での問題解決の類似性
発明手法として有力なものに、Trizと等価変換理論があります。
●Triz
Trizを用いた発明の手法は、未知数を含む連立方程式の解法に類似しているように思います。
すなわち、第1の課題の解決手段を示す第1の方程式と、第2の課題の解決手段を示す第2の方程式が
相互に矛盾をしているが、未知数Xに適切なものを入れることで、2つの方程式がともに満足される
という連立方程式の解法に類似していると思いました。
そして、連立方程式のタイプにあわせて解法公式が用意されており、それが40種類になっているという
ことだと思います。
また、Trizでの問題解決ツールは、問題を分析してそれを連立方程式の形に定式化するというものだ
と思います。
また、Trizで言う技術進化のトレンドを眺めていると、ちょうどビッグバンによって宇宙が生まれ、
光だけの世界から始まり、少し冷えてプラズマが生じ、さらに冷えて粒子が生じというようにして
この宇宙が変化したプロセスを逆に辿っているようなものになっています。物質がエネルギーの流れの
パターンであり、発明とはエネルギーの流れの新パターンである考えると、発明は複雑なエネルギー流
パターンで新機能を実現するものから、単純なエネルギー流のパターンで新機能を実現するというように、
進化するということだと思います。機能実現の本質を把握できれば、単純なエネルギー流のパターンで
機能実現できるということだと思います。
Trizでの問題分析は、企業などにおける研究開発や商品開発テーマのレビューや評価において、大変
に役立ちそうに思えます。開発テーマにおける問題解決の解に至るプロセスの質の論理性や、問題解決
方式の基盤となる技術的な根拠の本質や想定される副作用を明確化をすることで、その開発テーマを専門
としていない経営層による一段高い視野による評価ができやすくなると思います。
●等価変換理論
等価変換理論による発明の手法は、方程式に因数分解の公式をあてはめて、解を得るときの思考法に
類似しているように思いました。多数の変数や定数や係数を複雑に組み合わせた方程式であっても、適切に、
項をまとめることで、因数分解の公式のどれかが適用できることが、突然にわかります。
複雑な方程式でも、項の区分けの仕方という新しい観点で方程式を眺めると、あてはめることのできる因数分解の公式が判明する
ことは、等価変換理論において、出発系である複雑な方程式(A0)を適切な観点(vi)で眺め、非本質事項
(Σa)を除去して、核心をなすアイデア(cε)である因数分解公式を適用することで、因数分解された
方程式である変換系(Bτ)が得られます。
これらのことは、数学教育を適切に再編することで子供の発明能力発達に役立たせることができる可能性を
示していると思います。
【参考サイト】
(1) http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/Ichikawa010918/IchikawaET010918.html
(2) http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/IntroJCS011104/IntroJCS011104.html
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