63. 企業で特許実務を行なう者に必要な武士型の資質
知的財産ブームの中で、古武士のように特許実務を着実に実行する者が減少し、公家のように委員会活動,情報交換会や 論文発表などの社交に多くの時間を傾注する者が増加しているように感じる。本来、特許業務とは、「発明者からいただいた貴重な 発明を鍛え上げて、これを日本刀のような美しく力強いパワーを持った請求項を持った特許権に仕上げ、これを手にして競合と戦う ことで、仲間である設計、生産、営業などの者達の活動を発展させるもの」である。これは、武士が領地を守るために武芸を 磨いていたことに非常に似ている。
特許業務を武士の心で行なう人々を少しでも増やすために、下記のように特許業務を行なう者に 必要な資質や能力をまとめる。

【特許業務を行なう者に必要な資質や能力】


一. 発明に触れることに喜びを感じる資質
一. 発明者に敬意を持ち、発明者との会話を楽しむ資質
一. 自らも発明を行なえるだけの技術力と、独創力
一. 発明者の発明を理解するだけでなく、公知技術との比較および発明の論理的発展の道筋の把握に基づいた発明の本質抽出ができる能力。
一. 発明の本質把握に基づいて発明を膨らませる能力と、それを実行しようとする積極性。
一. 発明者の提示する発明を審査や評価しようとするのではなく、発明者と一緒に発展させようとする自発性。
一. 請求項を読めて、理解できて、評価できて、書ける能力。
一. 明細書を読めて、理解できて、評価できて、書ける能力。
一. 重要な特許の獲得,重要な特許の活用,他社からの特許での攻撃に対する防御において、長期間にわたっても 粘り強く、積極的に行動して、目的を完遂する完遂力。
一. 技術や事業のマクロな動向の把握ができ、将来において必要な技術のビジョンを保持し、ビジョンに基づいた業務ができる能力。
一. 社内外の関係者を1つの目的のもとに組織化し、プロジェクトを推進していく組織化能力。
一. 知的財産権法に関する正確な知識と、その知識の応用力とリーガルマインド。
一. 契約書を読めて、理解できて、評価できて、書ける能力。
一. 官僚主義的な行動パターンや思考パターンに陥らないように常に自省する姿勢。
一. 知的財産権を事業に活用する事、知的財産権の事業をする事における戦略を思考する資質。

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