377. 思考力・判断力・表現力の総合によって実現できる発明発想能力の形成方法

次期学習指導要領に、思考力・判断力・表現力を重視する事や、アクティブラーニングを取り入れることは、重要です。
しかし、日本における英語教育が長期間にわたって失敗しており、英語を自由に話したり聞いたりできない 日本人がほとんどである事と同じ失敗を繰り返さないための方策を用意することが、思考力・判断力・表現力 の総合によって実現できる発明発想能力の形成には、特に重要です。

これは、人間の脳の働きの仕組みに原因があります。
すなわち、脳にはモードというものと、モードの切り替えというものがあるからです。
英語について述べると、日本人でも日本語モードから英語モードの脳の状態になると英語で聞いたり話したり が、無意識にスムースにできます。
脳におけるモードの切り替えのもっと単純な例が、モールス信号の送信と受信をするオペレータが、 同じモールス符号を英文モードと和文モードで意識的に自分の脳の状態を切り替えるという事実です。

私は巡視船で通信士として勤務した経験があり、大変に高速なモールス信号の送受信をしていました。
モールス信号は、短音(トン)と、長音(ツー)と、無音時間(・)の組み合わせで表現されます。 トン・ツーは、和文では「イ」ですが、英文では「A」となります。

すなわち、同じモールス信号であっても英文モードと和文モードでは対応する文字が異なるのですが、 その相違した変換をモールス信号の高速送受信では無意識にできるように訓練するわけです。
その訓練の結果、脳内に英文モードと和文モードが形成され、両モードの切り替えが自由に瞬時にできるよう になるのです。
これと同じことが、日本語と英語を話す日本人の脳内にも生じます。

すなわち、英語を話したり聞いたりできるようになるには、英語モードの脳の状態を脳内に形成できるような 訓練をすることが最も重要であり、これは、モールス信号を英文で送受信できる英文モードの脳の状態や、 和文でモールス信号を送受信できる脳の状態を形成するための訓練と同じです。
人間は自分の考えを、言語表現する際に、無意識に適切な用語を瞬時に選択して組み合わせています。
これを実現するためには、脳内に英語モードや日本語モードのような脳内モードが自由に形成できるための 訓練を長期間にわたってすることが重要です。

思考力・判断力・表現力の総合によって実現できる発明発想能力も、人間の脳が問題解決のために、 自分の脳内に自動的に解決策を示す脳内パターン(感性場とも言う)を形成し、その脳内パターンを意識しな いで言語表現できる脳内モードを形成するための訓練が必要です。

このような脳内モードを形成することのできる能力を子供たちに獲得させるためには、自分自身の脳内モード を意識的にコントロールしたり、自分の現在の脳内モードがどうなっているかを感じるという訓練も必要です。

このような脳内モードが存在することを子供たちに実体験を通じて信じさせることが、その訓練の前提として、 重要となります。

幸いにも、日本の子供たちはスマートフォンやテレビゲームに夢中になって遊んでいる体験をしていますので、ゲームに夢中になっている時の自分の脳内モードがゲームの種類に応じた脳内モードになっていて、日常生活での脳内モードとは異なるという事を実感していると思います。 この感覚を持った子供たちに対して、発明発想能力において重要な、問題抽出、問題解決のための手段の 最適組み合わせの探索、問題解決策の言語表現などを、意識しないでも瞬時にできるときの脳内モードである 発明発想モードを獲得する訓練に誘導することが効果的だと思います。

そのためには、そのような指導を行なう教師が、発明発想モードに自分の脳をすることができるということが 必要です。(参考サイト2を参照)
【参考サイト】

1. 次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2016/09/09/1377021_1_1_11_1.pdf
2.基本発明の方法
特許戦略論 〜特許戦略実践の理論とノウハウ〜 の第10章
http://www.patentisland.com/memo374.html

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