従来技術 | 従来技術の問題点 | 目的(解決しようとする課題) | 構成 | 作用 | 効果 | コメント | |
技術思想レイヤー(原理、思想、アイデア) | 個々の従来技術の問題点の原因分析に基づいて問題解決のために個別的に設定した課題を上位概念化(抽象化)して把握した【発明が解決しようとする課題】 | 【技術分野】の欄に記載の「本発明」、 【請求項】に記載の「発明」、 【課題を解決するための手段】の欄に請求項ごとに記載する「手段」 【課題を解決するための手段】の欄では、 請求項での重要な用語の定義を記載するとともに、その用語の下位概念を限定列挙することが必要である。この下位概念の限定列挙の中で、実施の形態との対応関係を示すことも必要である。 |
【課題を解決するための手段】の欄に請求項ごとに記載する「作用」 | 【課題を解決するための手段】の欄に請求項ごとに記載する「効果」、 【発明の効果】の欄に記載する「効果」 |
このレイヤーは数学的に言うと、具体的な関数形を定める背景となる技術思想を定性的に記述したものと言える。 1.【技術分野】の欄での「本発明」には、【請求項】に記載の「発明」の「特別な技術的特徴」を記載し、【発明の効果】の欄には本発明の効果を記載する。 2.【請求項】に記載の発明の技術的範囲は、技術思想レイヤーでの目的・構成・作用・効果の説明(用語定義と用語の下位概念の例示列挙を含む)の範囲のみを用いて、解釈すべきである。 3.【発明の実施の形態】の欄や【実施例】の欄の記載ならびに公知技術等は、【請求項】の技術的範囲に対して特許権を付与することの有効性の有無の判断にのみ使用すべきであり、 【請求項】の技術的範囲の解釈に用いるべきではない。 なぜならば、特許法第29条にしても、第36条にしても、【請求項】の技術的範囲における特許権の有効性の判断基準として規定されているが、技術的範囲の解釈の判断基準としては規定されていないからである。 しかも、特許発明の技術的範囲の解釈の基準は特許法第70条に規定しているからである。さらに言えば、技術的範囲の解釈ができて初めて、その技術的範囲に特許権を付与することの有効性の判断ができるのであるから、 有効性の判断基準の要素である【発明の実施の形態】や【実施例】を技術的範囲の判断の基準に使用できるはずがないのである。 有効性の判断基準と技術的範囲の判断基準を混同しないためにも、サポート要件という特許権の有効性の判断基準の1つとなるものである【発明の実施の形態】や【実施例】は【請求項】に記載の発明の技術的範囲の解釈には用いるべきではない。 |
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一般論レベルの設計書レイヤー(普通名詞や変数で記述) | 公開特許公報に記載の【実施の形態】を従来技術として挙げているもの。 デバイスや物質の一般名称を用いて記述された論文。 |
公開特許公報に記載の【実施の形態】や、デバイスや物質の一般名称を用いて記述された論文に記載の技術の問題。 | 【実施の形態】や【実施例】や論文レベルなどの抽象度のレベルで記述された問題の原因分析をして得た解決すべき具体的な課題。 | 【実施の形態】 | 【実施の形態】の作用 | 【実施の形態】の効果 | このレイヤーは、数学的に言うと関数形を示すレイヤーとも言える。例えば、z=ax+by+cという関数形を示すが、係数であるa,b,cは変数のまま、その関数の特性を論じるというものである。 |
具体論レベルの設計書レイヤー(固有名詞や数値で記述) | 数値や固有名詞を用いて記述した【実施例】や、具体論レベルの設計書や、設計書の内容を含む論文など。 | 数値や固有名詞を用いて記述した【実施例】や、具体論レベルの設計書や、設計書の内容を含む論文などに記載の技術の問題。 | 数値や固有名詞を用いて記述した【実施例】や、具体論レベルの設計書や、設計書の内容を含む論文などに記載の技術の問題の原因分析をして得た解決すべき具体的な課題。 | 【実施例】、 製品の設計書 |
【実施例】の作用 | 【実施例】の効果 | このレイヤーは、数学的に言うと、例えば、z=ax+by+cという関数形を示すだけでなく、係数であるa,b,cの組について、具体的な数値を示して、その関数の 特性を論じるものに相当する。 |
現実の製品やサービスのレイヤー | 製品 | 製品の作用 | 製品の効果 | このレイヤーは、審査や審判の段階では公然実施技術を構成するし、特許権侵害訴訟の段階では侵害品を構成する。いずれにしても、請求項と比較することになるが、 比較するためには請求項の属するレイヤーである技術思想レイヤーとのギャップを埋める必要がある。 |