23. 知財部門の資源配分の考え方
極端な例を挙げますと、(1)出願ばかりをして権利化をほとんどしない知財部、(2)権利化まではするが権利活用を
しない知財部、(3)権利活用はするが権利化をほとんどしない知財部、(4)権利活用はするが他社特許対策は
ほとんどしない知財部というようなものが考えられます。
実際には、このような例は少ないと思いますが、要は、出願、権利化、権利活用、リスク管理、技術戦略および事業
戦略への提言などにどのような考え方で資源配分をするかという問題です。
資源としては、人材、資金、設備、情報があります。
これらの資源を配分する上での評価基準となる考え方に、次のものがあると思います。
1. 事業貢献の大きさを最大にする。
2. 経営体質の改善を最大にする。
3. 事業貢献や経営体質改善という寄与が継続的に行えるようにする。
また、資源配分を変えても、すぐにはアウトプットが出ないことを知っていなければなりません。半年から1年を単位として
計測する期間が経過しなければアウトプットが見えてきません。農業に類似した時間スケールが必要です。
たとえば、基本特許を取得しているのに、権利活用がされることなく満了しているという事例が発生してきたら、権利化の
パワーの一部を割いて、権利活用にまわします。
また、有望な特許権がどんどん満了しており、数年後には有望な特許権がなくなるということがわかってきたら、出願と
権利化のパワーが不足しているので、出願と権利化にパワーをまわします。
良い発明のもととなる優れた技術開発や、新規事業分野の開拓がうまくいっていないということがわかってきたら、技術戦略
および事業戦略への提言にパワーをまわします。
このように、自社のおかれた状態に応じて、知財部門の資源配分を変えていかねばなりません。また、特に人材の育成や
発掘と登用を日頃から適切におこなっておく必要があります。そうしなければ最も重要な資源である人材がいなくなり、資源
配分などは全く出来ないということになります。
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