229.知財業務は、知的財産を用いた価値提供の増進で事業および経営に貢献する業務である
知財業務は、事業および経営のために、@どのような知的財産を創造すべきか、Aどのような人材に注力
して知的財産創造の活動を促進すべきか、Bどのように知的財産を組み合わせるべきか、C蓄積している
知的財産や知的財産権をどのタイミングでどのような事業に活用すべきか、というような課題を解決
することを主たる内容とした業務である。
そのために、@知的財産の蓄積と活用と評価と廃棄の管理を適切にすること、
A知的財産を法的に保護するための知的財産権を取得し知的財産権を基礎にして自社の事業および
経営に貢献するように知的財産権を活用すること、
B他社の知的財産および知的財産権や他社の事業や市場を観測して、自社の事業および経営にとって
適切なアクションを企画して実行するという知的財産マネージメントが、必要である。
このように考えると、知財業務の一部として知的財産権の取得と知的財産権の活用という法律行為を
必要とする業務もあるが、知財業務の一部に法律業務があるからと言って、知財業務が法律業務の
一分野ということにはならないことがわかる。
知財業務は知的財産権だけを扱うものではなく、知的財産を事業および経営に活用するという業務
であるためである。知的財産の事業および経営での活用において知的財産権はいくつかの道具の一つ
であるに過ぎないし、知的財産権が無ければ知的財産の事業および経営での活用ができないという
ものでもない。しかし、知的財産権を活用することで競合企業に対する優位性や顧客獲得における優位性
や提携関係の構築における優位性が実現できる場合があることも事実である。
そのため、知的財産権を取得し、活用するのである。
知的財産権法は知財業務においては、知財業務の一局面において必要となる知的財産権の取得と活用や
他社の知的財産権に関する対策などの業務において必要となる。
しかし、その場合でも知的財産権法が知財業務において重要なのではなく、知的財産権の権利範囲や事業
および経営における知的財産権の役割やリスクや機能が重要なのである。知的財産権法は知的財産権
を取り扱うための知識の一分野であるにすぎない。
まとめると、知財業務においては、知的財産を用いた価値提供の増進で事業および経営に貢献するため
に、第1に知的財産の内容と役割と価値が重要である。そして、重要な知的財産に関する知的財産権
が第2に重要となる。知財業務においては、価値ある知的財産を見抜く目利き能力、価値ある知的財産権
を見抜く目利き能力が重要となる。知的財産権法の知識は価値ある知的財産権を事業および経営に活用
するための知識の一部として必要となる。知的財産権の事業および経営における活用には、戦略実践の
ための知識や実践能力が特に重要となる。
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