21. 発明思考法を学校で学生に教えよう

日本の科学技術力を向上させるため、劣化させないためには、日本の子供達に科学技術の知識を身につけさせるだけでなく、 科学的思考法を実習を通じて感得させ、さらには発明思考法も実習を通じて感得させる必要があります。

科学的思考法は、通常は、演繹法と帰納法に分けられています。演繹法は、汎用的な命題である公理や定理を組み合わせて、 新しい命題を導くものです。
帰納法は、多数の命題から定理といえそうな汎用的な命題を導き出すものです。どちらも、命題を出発点としている点が共通です。 命題は、その意味する内容が真であるか偽であるかのどちらかとして、処理可能な文であると思います。
科学的思考法とは別に、科学的方法論というものもあります。仮説と検証というものです。仮説を設定し、繰り返し可能で仮説の 成立または不成立が厳密に証明可能は方法で実験をして、仮設が成り立っているかどうかを確認するというものです。
どんなに突拍子もない仮設でも、厳密な実験で証明されたなら、それを真であるとして受け入れるというものです。

発明思考法は、目的を達成するために、既知の機能を組み合わせて、新しい機能を生み出すという思考方法です。
機能とは、入力を与えると、一定の方法または働きで入力に応じた出力を生成するものです。
発明思考法では、目的の設定が重要です。あいまいな表現の目的では、なかなか目的を実現する機能の組み合わせは見えてき ません。また、機能の持ち駒、すなわち、さまざまなデバイス、装置、方法の知識がなければ、機能の組み合わせのバリエーションは 生み出せません。しかし、いくら機能の持ち駒が多くても、物事の本質を見抜く眼、さまざまな切り口で機能を組み立てる柔軟な思考 能力がなければ、機能の組み合わせの種類の爆発の前で、何らのアイデアも浮かばないままとなります。

発明思考法は数学での因数分解の問題を解くときの思考法に似ていると思うことがあります。斬新な切り口で、項を変形させた後、 組み合わせを変えると、単純な構造が突如として見えてきて、その先に、方程式の解が待っています。

発明思考法は、知識として教えてもらうものではなく、実習を通して体得するものだと思いますので、中学生の科学の授業の中で、 発明実習として取り組むのが良いと思います。
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