149.発明となるアイデアをふくらませる方法
発明となりそうなアイデアが創出されたとき、それをふくらませて良いものに仕上げていく方法について
説明する。
【上位概念化と下位概念化】
発明となりそうなアイデアを簡単な数行の文章で表現してみて、その文章の中のキーワードを、まずは上位概念化
して発明を把握してみる。上位概念化することで、発明の本質が鮮明になってきたら、他のキーワードについても
上位概念化してみる。このようなプロセスの中で、上位概念化したキーワードのいくつかを、別の下位概念に
してみて、アイデアのイメージを具体化してみる。このようにして、発明が概念空間の中で膨らんでいく。
【アイデアの背後にある暗黙の前提を打ち破る】
発明となりそうなアイデアを簡単な数行の文章で表現してみる。次に、その文章には表現されていない暗黙の
前提は何なのかを自問自答する。グループ討議で、他のメンバーから暗黙の前提を指摘されても良い。
すなわち、そのアイデアで目指そうとしている状態は何のためのものなのか
という目的、アイデアが前提としている技術的な原理、アイデアの裏に潜む思考上の論理、価値観などを
何とか抽出する。そして、まずは抽出した暗黙の前提としていた事項の観点から見て、他のアイデアは無いのか
を検討する。さらに進むと、前提としていた事項を上位概念化したり、修正してアイデアを再度、練る。
この手法でのアイデアの膨らましは、前記の「上位概念化と下位概念化」の方法では決して到達できない斬新なものとなる。
【技術進化の法則の適用】
技術の進化には次のような法則があると考えるので、発明となりそうなアイデアにその法則を適用してみて、
進化した先の技術を予測して、アイデアをふくらませる。
(1) 同種のものの複数個の結合や同種の複数のものの共同動作の方向への進化(例:シングルプロセッサからマルチプロセッサへ)
(2) 異種のものとの結合の方向への進化(システム化)
(3) そのものの内部の情報、エネルギー、物質の流れの進化(知能化、高効率化、高信頼化など)
(4) そのものの機能や性能をより良く活用したり発揮させるために外部に設けられる補助機能の豊富化
【応用分野の展開】
そのアイデアを応用できそうな分野を広げていく。すでに発想している応用分野の隣接分野に展開する。
隣接分野の抽出は、共通の上位概念を有する応用分野として行なうこともできるし、国際特許分類の体系を
参考にして抽出することもできる。また、着目している分野を示すキーワードで辞書やインターネットを検索
して得られる情報をもとに隣接分野などを抽出することもできる。
【課題抽出と問題解決】
発明となりそうなアイデアを簡単な数行の文章で表現してみる。そのアイデアを具体的化する場合に発生
するであろう課題をリストアップする。または、そのアイデアを適用する分野を具体的に1つに絞り込んで、その
アイデアによる具体的なシステムや方法などを詳細に発想する過程で、多くの課題が見えてくる。それらの
課題を解決するアイデアを得ることで、アイデアがふくらんでいく。
【社会やライフスタイルの、変化の方向,抱えている課題から発想してみる】
ふくらまそうとするアイデアに対して、例えば地球環境問題や少子高齢化社会の問題やエネルギー不足の
問題などをからめて発想してみる。
【他のアイデアや技術との結合をしてみる】
ふくらましの対象のアイデアを、自社のコアコンピタンス技術と結合すると何ができるかを発想してみる。
又は、他のアイデアと結合するとどうなるかを発想してみる。
【強制連想による発想】
アイデアのふくらましをしているメンバーの頭脳を活性化させるための刺激を連想に求める方法である。
例えば、新聞の各ページの記事の見出しに使用されているキーワードとふくらまし対象のアイデアを
関連付けるストーリを考えてみて、発想する。
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