133.知財部は基本特許の活用をしなければならない

 企業における知財部は、特許権を代表とする知的財産権を事業および経営に役立たせるために存在している。
基本特許は権利範囲が広く、その特許発明の技術を幹として様々な技術や応用ビジネスが派生し、それらの 市場が大きくなりそうなものである。
基本特許となるような発明は、発明の日から10年以上が経過してやっと実用期を迎える場合が多い。そのため、 発明時点や発明から数年が経過した審査請求の時点では、大変に価値ある発明であることを認識できず、 みすみす基本発明について審査請求をしなかったり、外国出願をしなかったりということも起こりがちになる。
技術と市場の目利きは、素晴らしい基本特許となりそうな発明を見抜く眼を持っていて、意識的に基本発明を 基本特許に育てていくことができる。しかし、目利きの人数は少ないので、基本発明が基本特許となったとしても 通常の特許と同じようなプロセスと着目レベルのもとで処理され、権利化されたとしても基本特許である事を認識されずに放置される 場合が、多々生じることになる。
しかし、基本特許を保持しておりながら、自分が基本特許を保持していることを認識せず、漫然と放置している ことは知財部としては恥であり、怠慢である。
基本特許の中には、その権利範囲がカバーする市場規模が1000億円や1兆円というものも存在する。
そのような基本特許を保持する企業は、そのような基本特許の存在を確実に認識し、資産として計上して株価にも 反映させねば、株主に対する責任も果たせない。悪くすると、そのような基本特許を狙ってのM&Aのターゲット とされることも誘発する。また、そのような基本特許の発明者にとっては、正当な譲渡対価を得られる機会が奪われる ということももたらす。2007年5月から日本で始まる本格的なM&A時代を前に、企業は自社の有する基本特許 の洗い出しと、正当な価値評価と活用策の実施を行なうことが必要である。
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