クレーム限定要求への対応


【クレーム限定要求を理解するための背景説明】
1. クレーム限定要求は、「別個独立の発明を複数個クレームに含み、出願の単一性違反の出願であるので、審査対象とするクレームを、出願の単一性を満足する範囲に限定せよ。」との審査官から出願人に対する要求である。
2. クレーム限定要求は、121条372条に基づいている。
3. 審査のために先行技術サーチを審査官が行なう前に、審査官は、その特許出願が限定要求の原因となる別個の発明を含んでいないかどうかをチェックする。
4. クレーム限定要求では、「ジェネリッククレーム」と「スピーシーズクレーム」という概念が重要である。 ジェネリッククレームとスピーシーズクレームの関係
 (1) ジェネリッククレームは、ジェネリッククレームの下位にスピーシーズクレームを有する。スピーシーズクレームは、ジェネリッククレームの権利範囲内に含まれる。
 (2) スピーシーズクレームは相互に排他的である。すなわち、どのスピーシーズクレームも他のスピーシーズクレームと権利範囲が重ならない。
5. 上位に共通のジェネリッククレームを有さない複数のクレームがある場合、クレーム限定要求の対象となる。
6. ジェネリッククレームが下位にスピーシーズクレームを妥当な個数以上含んでいる場合には、限定要求の対象となる。
7. クレームの限定要求をする場合の規準は、審査便覧MPEP806.05(c),--,(h)に記載されている。
審査官は、限定要求が正当であると主張するためには、@異なった分類であること、A分類クラスが同一の場合でも、発明者が、異なった発明的努力が必要と認識していたと供述していたことを示すこと、Bサーチ分野が相違していること、のどれかを示さねばならない。(MPEP808.02)

【対応策】
1. 限定要求を否認する対策:
   (1) 具体的に限定要求の誤りを指摘する。
   (2) 限定要求を否認はするが、暫定的にクレーム限定をし、クレーム限定要求の再考慮の申請をする。(37 C.F.R. 1.143

2. 限定要求を受け入れて、審査対象のクレームを限定する対策:
   (1) 事業上の価値および権利化が早期にはかれそうなクレームを選定して、それらを審査対象のクレームとして残す。
   (2) 審査対象として選択しなかったクレームの権利化をはかる場合には、原出願の特許発行前に分割出願をする必要がある。限定要求に従って、分割出願をした場合には、二重特許を理由とする拒絶を受けることはない。
   (3) 分割出願する際には、分割出願のクレームの発明者が正しく挙げられているかどうかをチェックする必要がある。

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